猿橋本関雪 1940(昭和15)年頃
身近なニホンザルを題材にした親しみやすい一作である。秋も終わり頃であろうか。猿が下記の古木に上がり、枝を引っ張り、実を取ろうとする瞬間が描かれており、その表情はひょうきんで温かみが感じられる。丁寧に描写された猿と、大胆な筆法による木の表現の対比が印象的で、さらに猿の視線と柿の実がつくる斜めの線が、木の幹の傾きと交差し、画面に動きを与えており、関雪ならではの巧みな構成力がうかがえる。
「大堀哲記念ミュージアム・マネージメント推進賞」を受賞しました