猿川合玉堂 1955-56年(昭和30-31)頃
山種美術館玉堂は、自ら子猿を飼い、繰り返し写生をして制作に活かしていた。独りで寝かすのが可愛そうで毎夜抱いて眠ったエピソードも残されており、猿には非常に詳しくなったという。本作品では、大きな岩から生える蔓にぶら下がる3匹の猿を描いている。猿の手足や顔には、わずかに淡彩が施されているものの、墨の濃淡のみで、嶮しい断崖、しなやかな蔓、柔らかい猿の毛並を自在に描き分けている。玉堂の卓越した水墨の技術をうかがい知ることができる。
担当者からのコメント:この作品は、申年の2016年に際し、新春の特別展「ゆかいな若冲・めでたい大観―HAPPYな日本美術―」に出品予定です。本展では、新年にふさわしくさまざまな吉祥のモティーフや干支を画題として描かれた作品を選りすぐって展示いたします。また、本年開館50周年を迎える当館では、「奥村土牛展」、「速水御舟展」など当館コレクションを中心に名品の数々をご紹介する開館記念特別展を企画中です。皆様のご来館を心よりお待ちしております!(山種美術館館長 山﨑妙子)