第31回 福田和浩(八尾市立しおんじやま古墳学習館 学芸員・館長)
伊丹市昆虫館の坂本さんからご紹介いただきました、八尾市立しおんじやま古墳学習館の福田です。
八尾市立しおんじやま古墳学習館は2005年に開館した施設で、その魅力は何といっても全長160mの国史跡の心合寺山(しおんじやま)古墳です。ちょうど大阪に百舌鳥・古市古墳群という世界遺産にもなった巨大古墳が造られたのと同じ時期の古墳です。そんな古墳が1600年前の姿に復元されていて、その大きさはもちろん、古墳の西側に広がる大阪平野を見ながら、当時の様子を体感することができます。また10分程歩くと、大阪府下で最大の横穴式石室のある愛宕塚古墳があったりして、いろんなタイプの古墳を見ることもできます。
また見学するだけではなく、古墳をまわるスタンプラリーやクイズラリーがあったり、学習館では勾玉作りや埴輪ストラップ作りなどの歴史体験コーナーもあって、体験もして楽しめます。さらに学習館には、古墳や埴輪をモチーフにしたいろんなミュージアムグッズを販売しているショップコーナーも。ハニワこうていなど当館のキャラクターグッズはもちろん、作家さんが作った円筒埴輪タンブラーや心合寺山古墳クッションなど、魅力的なグッズもたくさんあります。
このように、古墳を見学しながら、体験したり、買い物したり、いろんな古墳の魅力を楽しめるミュージアムですので、是非お越しください。
八尾市立しおんじやま古墳学習館 ミュージアムグッズ
私のおすすめミュージアム
飛騨みやがわ考古民俗館
岐阜県の北部、飛騨市にある「飛騨みやがわ考古民俗館」が、私のおすすめするミュージアムです。
この施設のウリは、飛騨市宮川町の山間部の暮らしを知る民具2万点と、町内の発掘調査で見つかった考古資料5万点です。圧倒的な資料があるミュージアムですが、実は大きな問題が2つあります。それは飛騨市の市街地から30キロも離れていること。また年間の開館日数が30日しかないことです。さらに飛騨市は人口2万3000人弱で高齢化率も高く、様々な課題もかかえているミュージアムなのです。
そんなミュージアムで、ここ数年大活躍しているのが「石棒クラブ」です。館のすぐ隣にある「塩屋金清神社遺跡」からは、縄文時代の祈りの道具である石棒が製作途中のものから完成品まで、何と1074点も見つかっているのです。この石棒の魅力を伝えるために結成されたのが「石棒クラブ」で、メンバーは飛騨市の方だけでなく、東京の方もいて、飛騨市の関係人口を増やすことも目的に活動されています。
2019年から活動が始まり、オンラインツアーの開催、Instagramに1日1本石棒の写真をアップするなど、ICTを駆使しながら積極的に情報発信しています。私も2020年5月にコロナ禍になってすぐに開催されたオンラインツアーに参加して、オンラインの可能性に気づかされました。(そこから当館のオンライン事業も始まりました!)
その他にも、考古資料の3Dデータの撮影合宿やデータの活用など、さらに魅力的な活動もされています。詳しくは石棒クラブのホームページをご覧いただき、飛騨市や石棒のファンになったら、レアな開館日に是非行ってみてください。活動が広がって、リアルな来館者も増えているそうですよ!
石棒クラブ
https://www.sekiboclub.com/
飛騨みやがわ考古民俗館 外観
飛騨みやがわ考古民俗館 展示室・石棒