第28回 風間美穂(きしわだ自然資料館 学芸員)
和歌山県立自然博物館の小原さんからご紹介いただきました、きしわだ自然資料館の風間です。当館は1995年6月、だんじりで有名な大阪府岸和田市の城下町に開館しました。9月の祭礼では多数のだんじりが館のすぐ前を疾走します。
私がこれいいなと思う展示は「発見ボックス」です。これは、当館に来館者が自然のなかで見つけたものの正体を知りたくて「これはなんでしょう?」と持ち込んだものを、学芸員のこれは〇〇ですね、という説明で終わらせず、持ち込んだ人に展示してもらう仕組みです。「これなに?」のお裾分けといえましょう。鳥の羽、化石、岩石、猫の骨など、ほんとうに多種多様なものが持ち込まれる、楽しいコーナーが環境ごとに設置されています。
さて、今や一部では岸和田名物とされ、全国各地で行われる「チリメンモンスター(チリメンジャコのなかの生物さがしプログラム)」は、当館学芸員だけではなく、当館の利用者による応援団体「きしわだ自然友の会」とともに生み出したものです。今年はこの友の会発足20年目です。これからも当館の使命「みんなで育て、みんなで楽しむミュージアム」をめざして、地域に根ざした自然史博物館として成長していく所存です。
きしわだ自然資料館「発見ボックス」
私のおすすめミュージアム
高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)
わたしのおすすめミュージアムは、大阪府高槻市にある「高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川)」です。淀川の支流、芥川のほとりにあるこのミュージアム、路線バスや車で来館した場合の入口は4階で、階を下りるごとに大阪北部のまち、高槻市の自然をより深く知ることができます。
まずは3階。スナネズミがお迎えする事務所前のミュージアムショップでは、鳥のバッジや芥川の生き物をかたどったオリジナルポストカードなどが販売されています。特に、高槻市の水路や水生昆虫、鳥など、地域の自然や地誌を紹介した書籍はどれもおもしろい内容で、私はいつも新刊の発行を楽しみにしています。
2階には、2022年2月にリニューアルしたばかりの、芥川を再現した6mの大水槽が3つと個々の生物がじっくり観察できる小水槽で構成する生体展示があります。ほとんどの生物が高槻市で採集されたもので、このミュージアムのある高槻市にこれだけの生物がいることに驚かされます。
そして1階。高槻市内で見られる鳥類や哺乳類などの剥製や昆虫標本が多数展示されています。しかもこれらの標本の多くが、スタッフや「あくあぴあ部活プロジェクト」などに参加する市民の方たちがつくったもので、色あせたものがありません。標本だけではありません。展示のジオラマや興味深いテーマで定期的に行われる企画展も、スタッフの手作りだそうです。
そして、入口には化石、岩石・地質などの標本。最後まで見ると、高槻の自然博士になれることまちがいなしです。しかも、これだけいろいろ見学しても無料。同じ大阪の自然博物館として心強いパートナーです。
高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川) 1階
高槻市立自然博物館(あくあぴあ芥川) 2階