第23回 脇阪伯史(広島市江波山気象館 主幹学芸員)
広島平和記念資料館の落葉さんからご紹介いただきました、広島市江波山気象館の脇阪です。
当館は被爆建物の旧広島地方気象台庁舎を活用し、気象への興味と関心を高めていただくことを目的とした博物館として1992年に開館しました。建物は1934年に建築された本館と1998年増築の別館とからなります。被爆当時の様子は柳田邦男氏の「空白の天気図」に詳細に記されています。本館の外観や間取りはできる限り当時のまま残し、昭和初期の鉄筋コンクリート建物の特徴である人造石を多用した重厚感あるつくり、ステンドグラスやアーチ状の装飾なども魅力のひとつです。
気象の展示では気象情報の紹介コーナーのほか、体験をとおして気象に興味をもっていただけるよう、雲の中に入ったり、雷放電の実験を間近で見ることができるコーナーなどがあります。
近年多発している気象災害を受け、大雨による浸水時の水圧体験、気象や自然災害に関する講演会など防災・減災についての普及活動にも力を入れています。
広島市江波山気象館 タイフーンボックス(雲体験コーナー)
私のおすすめミュージアム
浜田市世界こども美術館
日本海を見下ろす高台に建つミュージアム。青空をバックに白い船のようにも見えます。私がおすすめするのは「浜田市世界こども美術館」です。
美術館では「お静かに」というイメージが強かった私に「体験」したり、「試してみる」こともできるのだということを教えてくれたミュージアムです。企画展では複数ある展示室はもちろんのこと、階の異なる展示室をつなぐスロープの通路にまで、こども心をくすぐる展示が溢れています。見るだけではなく触れることができる展示が多いのも特徴で、知らず知らずのうちにアートの魅力に引き込まれていく工夫がされており、こどもたちに気軽に美術に触れてもらいたいという学芸員さんの思いが伝わってきます。
また、開館以来開催されている無審査・無賞の「浜田こどもアンデパンダン展」では、世界から寄せられるこどもたちの創造力豊かな作品に触れることができます。こどものために展示することを意識されながらも、美術は少し敷居が高いと感じている大人にも、美術はもっと気軽に楽しめるものなのだということを気づかせてくれるそんな素敵な美術館です。
アートを楽しんだ後は、3階のホールから日本海を眺めたりミュージアムショップでのグッズ探しを楽しむこともできます。ここ数年は、訪れる機会がなかったのですが、またお邪魔してみたくなりました。
浜田市世界こども美術館 外観
浜田市世界こども美術館 第4展示室