歌川広重の大規模な展覧会や不思議な世界感で人気のエッシャー展、北川民次や鴻池朋子の個展など。暑い夏におすすめしたい全国の展覧会10選をご紹介。東京版はこちらです。
国民的浮世絵師・広重
あべのハルカス美術館では開館10周年を記念し「広重 ―摺の極―」を開催。浮世絵版画の世界に風景画と花鳥画のジャンルを確立した歌川広重。近年は大規模な展覧会が開催されていない広重の初期から晩年までの画業を総覧していきます。
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あべのハルカス美術館「広重 ―摺の極―」
エッシャーの不思議な世界
幾何学的な構成で視覚芸術の本質に迫る作品を生みだしてきたマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898-1972)。豊田市美術館で開催される「エッシャー 不思議のヒミツ」では、メスキータに師事していた頃の作品をはじめ、約160作品を公開します。不思議な世界へ誘う体験展示も見どころです。
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《相対性》 1953年、リトグラフ Maurits Collection, Italy All M.C. Escher works © 2024 The M.C. Escher Company, Baarn, The Netherlands. All rights reserved mcescher.com
豊田市美術館「エッシャー 不思議のヒミツ」
大阪にパワースポット・醍醐寺が出現
874年に開創されて以来、真言密教の拠点寺院として信仰を集め、歴史の表舞台において重要な役割を果たしてきた醍醐寺。大阪中之島美術館「開創1150年記念 醍醐寺 国宝展」では、国宝14件、重要文化財47件を含む約90点の宝物を紹介。大阪初となる大規模な展覧会です。
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大阪中之島美術館「写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」
上野の龍が福井に参上
福井県立美術館では、100年以上、日本画壇を牽引してきた日本美術院による「院展」を3年ぶりの開催。また、館長・手塚雄二が描いた巨大な天井絵「東叡山寛永寺根本中堂奉納天井絵《叡嶽双龍》」が、奉納前に特別公開されます。
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「再興第108回院展」「特別公開 東叡山寛永寺根本中堂天井絵奉納記念 手塚雄二 雲は龍に従う ~上野から龍がやってくる~」
“虫”をみて、かんじて、かんがえる
大分県立美術館で7月から開催するのは 養老孟司と小檜山賢二「虫展」です。無類の昆虫愛好家・養老孟司と昆虫写真の新たな可能性を切り拓いた小檜山賢二の2人による「虫」の世界。カブトムシやゾウムシなどの微細な構造をデジタル技術で拡大した、見たこともない造形を楽しむことができます。
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大分県立美術館「養老孟司と小檜山賢二「虫展」」
北川民次、30年ぶりの回顧展
名古屋市美術館では、メキシコで画家・美術教育者として活動した北川民次(1894-1989)の回顧展を開催します。洋画家・壁画家・絵本制作者・美術教育者など多彩な側⾯をもつ⺠次の魅⼒を、絵画作品約70点や資料から迫ります。「特別展 生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ」は6月29日から。
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名古屋市美術館「特別展 生誕130年記念 北川民次展―メキシコから日本へ」
メディシン(薬草)のように機能する鴻池朋子のアート
東日本大震災以降、地球の振動を新たな画材と感じてきた鴻池朋子。青森県立美術館では、鴻池が東北の各地を巡り縁のあった場所に自作を展示保管してもらう長期的なプロジェクト《メディシン・インフラ (薬の道) 》を紹介していきます。
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青森県立美術館「鴻池朋子展 メディシン・インフラ」
梅津庸一の仕事を総覧
国立国際美術館では、美術家・梅津庸一(1982-)を紹介する個展を開催。油彩による裸の自画像やドローイング、映像などの作品をとおして、日本の美術(制度)史への批評的態度を表明してきた梅津が“人がものをつくる”という行為の可能性を問いかけます。「梅津庸一 クリスタルパレス」は6月4日から。
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国立国際美術館「梅津庸一 クリスタルパレス」
線をテーマにした13人の作品
私たちの生活や人間関係に「線」はどのように形作っているのか。線の意味や動き、どのように感情を伝えることができるかのか、13名の国内外のアーティストが探求する展覧会。「ラインズ—意識を流れに合わせる」は、金沢21世紀美術館で6月22日から開催。
金沢21世紀美術館「ラインズ—意識を流れに合わせる」
ダリの版画作品を紹介
長野県立美術館では、シュルレアリスムを代表する画家として知られるサルバドール・ダリ(1904-1989)を紹介する展覧会を開催。生涯に1600点以上もの版画を残しているダリの60年代から70年代に制作された版画を中心に、20世紀最大の奇才の真髄を堪能できる「ダリ版画展―奇想のイメージ」は7月から。
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長野県立美術館「ダリ版画展―奇想のイメージ」