日本美術や建築、工芸やファッションが好きな方は必見。2023年の秋、全国で開催される展覧会の中からおすすめ10選をご紹介。首都圏はこちらです。
ライトの約26年ぶりの回顧展
まず最初は、近代建築の三大巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライト(1867-1959)の回顧展。落水荘やグッゲンハイム美術館などだけでなく、帝国ホテル二代目本館や自由学園明日館も手掛け、日本ともゆかりの深いライト。帝国ホテルをメインにライトの活動を紹介する「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」展は、豊田市美術館で開催。
豊田市美術館
「五百羅漢図」全幅、修理後初公開
禅を学んだ円爾によって鎌倉時代に創建された、京都を代表する禅寺の1つ・東福寺。東福寺の寺宝をまとめて紹介する初の機会となった特別展「東福寺」では、“画聖”とも崇められた絵仏師・明兆による「五百羅漢図」全幅が修理後初公開となります。京都国立博物館にて10月7日から開催。
京都国立博物館 特別展「東福寺」
Perfumeのコスチュームを紹介
兵庫県立美術館では、3人組女性ユニット「Perfume」の衣装約170着を展示する、史上初の大規模衣装展「Perfume COSTUME MUSEU」を開催。楽曲、ライブなどで実際に着用した衣装のほか、未公開のデザイン資料も展示されます。開催後、複数都市に巡回する予定です。
兵庫県立美術館「Perfume COSTUME MUSEU」
三の丸尚蔵館の麗しき美の煌めき
石川県立美術館と国立工芸館の2館では、皇室ゆかりの美術工芸品を収蔵している皇居三の丸尚蔵館の収蔵品が並ぶ「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川」展を共同開催。皇室への献上品や婚礼調度など石川ゆかりの作品や、伊藤若冲の代表作・国宝《動植綵絵》など国宝・重要文化財を含む約120点を紹介します。
石川県立美術館「皇居三の丸尚蔵館収蔵品展 皇室と石川」展
四谷シモンと金子國義によるはじめての二人展 [PR]
現代の人形作家でカリスマ的な人気を誇る四谷シモン(1944-)と、少女アリスのシリーズで知られる画家で熱狂的なファンの多い金子國義(1936-2015)。二人は1960年代初頭に新宿のジャズ喫茶で出会い、長年親交を深めました。下瀬美術館「四谷シモンと金子國義 ―あどけない誘惑」では、それぞれ独自でありながら共鳴し合う耽美的で猥雑な世界をご紹介します。
下瀬美術館「四谷シモンと金子國義 ―あどけない誘惑」
長沢芦雪の描く奇想の動物
大阪中之島美術館では、奇想の画家のひとり、長沢芦雪(1754–1799)の回顧展を開催。師・円山応挙の画風を踏襲した初期作品から、斬新な構図による迫力満点で描かれた無量寺の《龍・虎図襖》(重要文化財)、晩年までの作品を紹介する「特別展 生誕270年 長沢芦雪」展は10月7日から。
大阪中之島美術館「特別展 生誕270年 長沢芦雪」展
京都画壇の名画を堪能
明治時代、小野竹喬や土田麦僊ら新世代の画家達は、まだ誰も見たことのない日本画を創造しようと竹内栖鳳や上村松園などの先輩画家たちとともに試行錯誤しました。京都国立近代美術館の開館60周年を記念する「京都画壇の青春 ― 栖鳳、松園につづく新世代たち」では、明治末から昭和初めにかけて活躍した京都画壇の画家たちの作品が並びます。
京都国立近代美術館「京都画壇の青春 ― 栖鳳、松園につづく新世代たち」
美と富をあらわす染織品
古代、人々を魅了し美と富の象徴だったたまばゆい色彩の染織品。岡崎市美術博物館では、現在は失われてしまった色を追い求めている染色工房「染司よしおか」の吉岡常雄・幸雄親子を紹介します。あくなき探究心と情熱により現代によみがえった王朝の色彩が並ぶ「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」は9月16日から。
岡崎市美術博物館「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」
現代美術家・福田美蘭を紹介
名古屋市美術館では「福田美蘭 ― 美術って、なに?」を開催。社会が抱える問題や古今東西の名画を題材に固定観念を覆すようなユーモアを添えた表現を行っている福田美蘭の1980年代から近年までの作品を紹介する、中部地方では初となる個展です。
名古屋市美術館「福田美蘭 ― 美術って、なに?」
江戸の絵師、谷文晁と葛飾北斎
江戸後期のほぼ同時期に活躍した2人の絵師、谷文晁(1763-1840)と葛飾北斎(1760-1849)。幕末の緊迫した沿岸情勢の中で一家を成した文晁と、凶作や飢饉にあえぐ民衆を魅了した奇才絵師北斎。栃木県立美術館「文晁と北斎」では、官と民の両雄ともいえる2人の絵師の魅力を解き明かします。