1966年7月にTBSで放送が始まった「空想特撮シリーズ ウルトラマン」。テレビ時代の到来とともにM78星雲からやってきたヒーローに、子どもたちは釘付けとなりました。続いて67年4月には「ウルトラセブン」がスタート。こちらも大きな人気を呼び、現在まで続く「ウルトラシリーズ」の礎になっています。
会場。ウルトラマンが並ぶ本展では、ヒーローや怪獣たちの造形を手がけた人々を大きく取り上げています。ウルトラマンとウルトラセブンをデザインした成田亨、成田のもとで粘土原型を作った佐々木明、ウルトラセブンで怪獣や宇宙人を手がけた池谷仙克、怪獣の着ぐるみを作った高山良策。それぞれが手がけたデザイン画や、造形を作るために使った石膏の型など、リアルな制作現場が語られます。
こちらはウルトラセブン。中央はウルトラ警備隊極東基地の模型放送当時も玩具などで立体化されていたウルトラマンですが、80年代初頭から改めてガレージキットで表現されるようになり、今日のフィギュアの世界でもウルトラマンは数多く見られます。
会場の最後のエリアには、海洋堂などによるウルトラマン・ウルトラセブンや宇宙人・怪獣らのフィギュアがずらりと並びました。
フィギュアになったウルトラマンや怪獣たち暗室では、現代美術館家の伊藤隆介氏によるウルトラマンのミニチュアを使ったインスタレーション作品も紹介されています。いずれも、ウルトラマンが現代文化にもたらした影響を考察する試みです。
伊藤隆介氏のインスタレーション「Realistic Virtuality」茨城県近代美術館でサブカルチャーを扱うのは初めての試みですが、批判的な声は聞かれなかったとのこと。会場冒頭に設けられた写真撮影可能エリアが親子連れで賑わっていたように、美術館にあまり縁がなかった客層にもアピールできているようです。幼少時に(再放送ですが)放送を見て熱狂していたウルトラマン世代としては、公立美術館にウルトラセブンのマスクが並ぶさまは、誇らしいような少し恥ずかしいような気もします。
同時期には近くの
水戸芸術館現代美術ギャラリーで、美人タレントやAKB48とのコラボ作品で話題の
「清川あさみ|美女採集」展も開催中。「美女と野獣」ならぬ「美女と怪獣」でお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年11月4日 ]©円谷プロ