← 前期展の取材レポート
前期展だけで9万人以上が訪れた春画展。国立クラスの美術館ならともかく、決して広いとはいえない永青文庫としては驚くべき数字です。館内は作品が全く見えない、という事こそありませんが、列が2重・3重になる混雑ぶり。週末は入館を制限する事もあるので、都合がつくならまず平日の来館をお勧めいたします。
来館者は「女性が多い」という話もしばしば聞きますが、実際はほぼ半々(ですので、男性ひとりでも安心してご覧ください)。傾向としては、週末は女性の比率がやや高く、平日は男性の比率が高いそうです。
来館者が多い事もありますが、一般的な美術展と比べると、グループ同士の話し声も多く感じる本展。アクロバティックな肢体や、あり得ないほど誇張された表現に対して、笑い声も聴こえてきます。
後期に登場した作品としては、肉筆では鳥文斎栄之の《源氏物語春画巻》と《四季競艶図》が見事。袋に入ったままで事に及ぶ《袋法師絵詞》もユニークです。版画では医学書のパロディー《艶道日夜女宝記》や、影絵で描いた珍しい《華月帖》も後期からの展示です。
本格的な春画展は初開催という事もあり「ポルノではなくアートだ」「ユニークな‘笑い絵’だ」等々、会期の後半になっても、さまざまな報じられ方をしています。春画を持ち上げすぎる報道には若干違和感を感じますが、これだけ多彩な春画が一堂に会するのは、今後もなかなか難しいと思われます。まさに百聞は一見に如かず。春画の評価は、ご自身でどうぞ。
そして、話題になっている展覧会のため、浮世絵をまとめて見る機会もこれが初めて、と言う方もいるかもしれません。お気に入りの春画を見つけたら、ぜひ絵師の名前を覚えておいてください。別の展覧会で、春画ではない浮世絵とも見比べていただければとも思います。
なお12月5日(土)は「着物DAY」、着物を着て来場される方は男女を問わず入場料が800円になります。前期展の「着物DAY」では着物姿の方が約300名来場。女性に混じり、粋な男性の姿も見られたそうです。お持ちの方は、ぜひ男性もチャレンジしてみてください。
また、閉幕直前の12月21日(月)は休館日の予定でしたが、好評につき開館する事も発表されています。
※やや過激な内容を含む写真は、別ページでご紹介しております。18歳未満の方はご遠慮ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年11月15日 ]
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