あまりも有名な「ベルサイユのばら」ですが、実は漫画の連載は1972年4月~73年12月のわずか2年弱。知名度と比べると、連載期間は意外に短いようにも思えます。
作者の池田理代子さんは当時24歳。少女マンガで歴史ものは無理といわれていましたが、華麗な描写とドラマチックな展開は熱狂的に支持され、少女マンガ史を変える大ヒット作となりました。
連載開始40周年を記念した本展は、まさに「ベルばら」ワールド満載。会場冒頭には白い馬車と宝塚歌劇の衣装、赤じゅうたんの先はベルサイユ宮殿です。
豪華な会場
コミックの原画は「運命の幕明け」「宿命の出会い」「うずまく陰謀」「永遠の誓い」「革命への序曲」「ばらは散りゆく」の6コーナーで紹介されています。
「そのショコラが熱くなかったのをさいわいに思え!!」「きょうはベルサイユはたいへんな人ですこと」。物語は印象的な台詞とともに記憶に残っています。ラスト近くでは、マリー・アントワネットが断頭台の露に。捕らえられたアントワネットが一夜にして白髪になったエピソードも有名ですね。
マリー・アントワネットの死
「ベルばら」の大きな魅力が、フィクションと現実の巧みな融合です。オスカルやアンドレは架空のキャラクターですが、「首飾り事件」「ヴァレンヌ逃亡事件」も含め、大きな時代の流れは史実どおり。学生時代の世界史で「ベルばら」の知識が役に立った人も多いでしょう。
池田理代子さんはフランスの歴史や文化の啓蒙に貢献したことが評価され、2009年にレジオン・ドヌール勲章シュバリエ章を授章。会場には勲章も展示されていました。
週刊マーガレットの表紙を飾ったベルばら
本展では初公開となるテレビアニメの原画やセル画も展示されています。
アニメは1979年~1980年に日本テレビ系で放映。独自のエピソードやキャラクターも盛り込まれ、新たな人気を呼びました。
テレビアニメの原画など
その他にも、1500回以上にわたって上演されている宝塚歌劇団版ベルばらの衣装や小道具、2005年から連載されているセルフパロディー作品「ベルばらKids」の原画、さらに40人の漫画家・作家・アーティストによるベルばらリスペクト作品「オスカルの肖像画」など、見どころたくさん。会期は2週間弱ですので、お見逃しなく!(取材:2012年9月13日)