IM
    レポート
    バンクシー展 天才か反逆者か
    アソビル | 神奈川県
    100万人超を動員した世界巡回展
    【5/30から再開】英国を拠点に活動する匿名の芸術家、バンクシー(BANKSY)。ストリートを舞台に、ゲリラ的に社会問題を風刺する作品を制作し、美術ファン以外にも広く知られるところとなりました。世界中で計100万人以上を動員した大規模なバンクシー展がついに日本上陸。横浜のアソビル 2Fで開催中です。
    (左から)ブラー「シンク・タンク」アルバム・スリーブ / ブラー「シンク・タンク」ポスター
    《ケイト・モス》
    (左から)《クイーン・ヴィク》 / 「ブレグジット」
    (左から)《ルード・コッパー》 / 「スノーティング・コッパー」
    (左から)《ドント・パニック・ポスター》 / 《フォーギブ・アス・アワ・トレスパッシング》2010
    (左)《ナパーム》
    (左から)《モンキー・デトネーター》 / 《モンキー・サーファー・オン・ボム》
    「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」
    《ガール・ウィズ・バルーン》

    著名な美術館に自分の作品を勝手に陳列するなど、過激な方法で衆目を集めているバンクシー。2018年10月にはオークションで落札された直後の作品がシュレッダーで切り刻まれ、こちらも大きな話題になりました。


    今回は、2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港と巡回した「BANKSY GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)」の日本版。バンクシー自身がオーソライズした展覧会ではないものの、これだけのバンクシー作品をまとめて見られる機会は、日本で初めてとなります。


    本展では個人コレクターが所有する作品が集結。オリジナル作品や版画、立体オブジェクトなど70点以上が出品されています。ストリートでゲリラ的に描かれるバンクシーの作品は、しばしば塗りつぶされてしまうため、現存作品は多くあませんが、会場内には消される前の作品を撮影した写真なども多くされています。


    会場はいくつかのテーマを設けて、関連する作品を展示。バンクシーが作品に込めた意図に迫ります。



    作品の中で頻繁に取りあげられるテーマのひとつが、反消費主義。マーケターの戦略に踊らされて、意味のない消費を続ける私たちの人生を、痛烈に笑い飛ばします。


    政治も、バンクシーが好むテーマのひとつ。大衆の意識を操作する政治に警鐘を鳴らし「世界をよりよい場所にしたいと望んでいる人間ほど危険なものはない」(バンクシー)と語ります。


    展覧会の見どころのひとつが「ザ・ウォールド・オフ・ホテル」の再現。2017年にベツレヘムにオープンした10部屋のホテルで、実際のホテルは、イスラエルとパレスチナを隔てる分離壁が、どの部屋からも見えます。


    再現された部屋の壁には、バンクシーの絵画が。イスラエル兵とパレスチナ人が、羽毛を撒き散らしながら、枕を振り回して戦う様子です。


    「ディズマランド」も著名な作品です。2015年の8月から9月に期間限定で開園された「小さな子供たちには不向きなファミリーテーマパーク」(バンクシー)で、ダミアン・ハーストやジェニー・ホルツァーらの作品が設置されました。展覧会では映像などが紹介されています。


    バンクシーのイメージとして最も知られているのが、風船に手を伸ばす少女の像《GIRL WITH BALLOON》。シュレッダーにかけられたのも、この図像でした。


    展覧会プロデューサーのアレクサンダー・ナチケビア氏によると、実に一般の英国人の7割がこの作品の作者がバンクシーと理解しているとの事。これは、現代美術作品としては、極めて高い数値です。


    通路を挟んだ向かいの展示室では、映像で見るバンクシーの軌跡も。大型の3面スクリーンで、バンクシーのこれまでの活動が紹介されています。


    世界的な認知を受けてもなお、覆面アーティストとして活動を続けるバンクシー。従来の美術の枠外にいる事は間違いありませんが、美術ファンならチェックしておかなければならないのもまた、間違いないでしょう。


    会場は横浜のアソビル。横浜駅みなみ東口通路から直通で行けますが、入り口がちょっと分かりにくいかもしれません。アソビルの公式サイトでご確認の上、お出かけください。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年3月13日 ]



    会場
    会期
    2020年3月15日(日)〜10月4日(日)
    会期終了
    休館日
    当館は不定休となっております。休館日に関するお知らせは、アソビルWebサイトかSNSにてご確認ください。
    住所
    神奈川県横浜市西区高島2丁目14-9 アソビル
    電話  
    公式サイト https://banksyexhibition.jp/
    料金
    【当日窓口販売チケット】
    平日 :大人 2,200円 / 大・専・高 1,800円 / 中学生以下 1,200円
    土日祝:大人 2,400円 / 大・専・高 2,000円 / 中学生以下 1,400円

    日時指定前売りチケット、プレイガイド販売チケットに関してはHPにてご確認下さい。
    展覧会詳細 「バンクシー展 天才か反逆者か」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
    東京都
    京都国立近代美術館 研究補佐員(学芸課・図書担当)の公募について [京都国立近代美術館]
    京都府
    多摩美術大学美術館 専任職員募集中! [多摩美術大学美術館]
    東京都
    (公財)宝塚市文化財団 学芸員募集(準事務職員) [宝塚市立宝塚文化芸術センター・庭園]
    兵庫県
    (公財)日本美術刀剣保存協会 学芸員募集 [刀剣博物館]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    開催中[あと46日]
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    開催中[あと37日]
    2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
    3
    京都文化博物館 | 京都府
    世界遺産 大シルクロード展
    開催中[あと37日]
    2024年11月23日(土)〜2025年2月2日(日)
    4
    日本科学未来館 | 東京都
    特別展「パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅」
    開催中[あと39日]
    2024年11月6日(水)〜2025年2月4日(火)
    5
    米子市美術館 | 鳥取県
    MINIATURE LIFE展2 田中達也 見立ての世界
    開催まであと43日
    2025年2月8日(土)〜3月24日(月)