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古事記とともに「記紀」として知られる日本書紀。第40代天皇、天武天皇の皇子である舎人親王が中心となって編纂され、第44代天皇、元正天皇に奏上されました。
日本書紀の冒頭「国譲り神話」でオオナムチ(オオクニヌシ)は、「顕露事」は皇孫が治め、「幽事」は自分が治めると宣言します。
第1章は「巨大本殿 出雲大社」。現在の出雲大社の本殿は延享元年(1744)の造営で、高さ24メートルと日本最大の社(やしろ)ですが、古代には48メートル、実に15階建てのビルに相当するとされていました。
あまりの規模のため疑問視する声もありましたが、2000年に巨大な宇豆柱を発見。この宇豆柱は鎌倉時代のものですが、神話にあった古代の大社が実在していた可能性も出てきました。
第2章は「出雲 古代祭祀の源流」。出雲は日本海を通した交流により、古くから独自の文化が形づくられてきました。
弥生時代には青銅器を用いた祭祀が行われており、大量の出土青銅器の展示は本展の目玉のひとつ。荒神谷遺跡出土の銅剣168本、銅鐸5個、銅矛16本、加茂岩倉遺跡出土の銅鐸が30個と、圧巻の展示です。
これらを保管・展示している島根県立古代出雲歴史博物館はこの項でご紹介した事がありますが、これだけの数が東京でまとまって出品されるのは、およそ20年ぶりとなります。
第3章は「大和 王権誕生の地」。大和には前方後円墳が出現。大規模な墳丘は政治権力の大きさを示しており、埴輪をはじめ様々な副葬品も見つかっています。
ここでは、黒塚古墳から出土した33面の三角縁神獣鏡に注目。竪穴式石室内の被葬者の頭部付近をコの字状に囲むように置かれ、1つの古墳から出土した数としては全国最多です。
鏡面を被葬者側に向けられており、被葬者を護り鎮める意図かあると見られています。
第4章は「仏と政(まつりごと)」。古墳時代後期に仏教が伝来すると、その教えは国づくりに活かされるようになります。国の安泰と人々の生活の安寧を祈り、自らの手で仏像がつくられていきました。
重要文化財《浮彫伝薬師三尊像》は、飛鳥~奈良時代(7~8世紀)の作です。奈良時代以前の石仏は極めて珍しく、風化せず残っているのは奇跡的といえます。門外不出の仏像が寺外初公開です。
島根県と奈良県が誇る数々の至宝を、同時に東京で見ることができる絶好の機会です。貴重な文化財が守り伝えられている事に敬意を表しながら、悠久の歴史に思いを馳せてください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年1月14日 ]