かつては杵築(きづき)大社、天之日隅宮(あめのひすみのみや)と呼ばれ、奈良時代の記録にもその名が残る出雲大社。江戸時代には全国から参詣者が集い、現在では縁結びのパワースポットとして若い人からも絶大な支持を集めています。
長い出雲大社の歴史を数々の史料で紹介する本展。出雲大社の威容に深い関心を示していた岡本太郎が昭和33年に撮影した写真から、展覧会はスタートします。
企画展会場。解説は島根県立古代出雲歴史博物館 専門学芸員の岡宏三さん展示は7章構成です。
1.大国主のイメージ
2.出雲大社の起源
3.発見された巨大柱
4.慶長と寛文の大造営
5.古代への意識と信仰
6.出雲に集う神々の美術
7.未来に引き継ぐきずな平成の大遷宮
ひときわ目をひく大きな梵鐘は、平安時代に造られたものです。当初は別の寺の鐘でしたが、1510年に出雲守護代の尼子経久によって出雲大社(当時は杵築大社)に奉納されました。その後、さらに別の寺に移され、現在では福岡の西光寺に。出雲大社へは、実に約110年ぶりの里帰りとなります。
国宝の梵鐘(西光寺)奥に進むと、神像や屏風絵、舞楽面、調度品など、見事な美術・工芸品が並びます。
出雲大社の御祭神は、大国主大神(おおくにぬしのみこと)。一般的には「大黒様」として知られています。江戸時代中期、本居宣長らによって確立された「国学」が広まるとともに、神国・日本の象徴的な存在として大国主が重要視され、次第に「だいこく」信仰は全国に広がっていきました。
さまざまな大国主大神。順に《伝大己貴命坐像》(滋賀・小槻大社)、《大黒主神立像》(奈良・大神神社)、《大黒天立像》(福岡・観世音寺)
展覧会の関連イベントとして担当学芸員によるリレー講座のほか、6月2日(日)には俳優の佐野史郎さんらを招いてのシンポジウムも開催されます(会場は大社文化プレイスうらら館 だんだんホール)。詳しくは
公式サイトでご確認ください。
本展会場の
島根県立古代出雲歴史博物館についてもご紹介します。出雲大社の東隣にある同館は、2007年の開館。「テーマ別展示室」「総合展示室」「神話回廊」と3つの常設展で、島根の歴史や文化を幅広く紹介しています。
島根県立古代出雲歴史博物館出雲大社関連では、境内から出土した巨大な柱「宇豆柱」(うずばしら)や、高さ16丈(約48m)といわれた平安時代の本殿の復元模型などを紹介。419点が一堂に展示されている国宝の銅剣・銅鐸・銅矛や、島根の地域色豊かな神話を大画面で紹介するシアターなど、見どころたっぷりです。60年ぶりの御遷宮に沸く出雲大社の参詣とあわせて、お楽しみください。(取材:2013年4月17日)