IM
    レポート
    「結 MUSUBI」展で知る、日本とカルティエの深い関係(レポート)
    東京国立博物館 | 東京都
    カルティエ日本初出店50周年を記念した展覧会は表慶館の雰囲気とピッタリ
    日本文化から影響を受けた作品などで、日本とカルティエの深い関係を実感
    国内外アーティスト16名の作品も展示。畳やパイプなど空間演出もユニーク

    1974年(昭和49年)、東京・原宿の竹下口交差点にオープンしたパレフランス・ビル(現存せず)。その2階に日本で初めてのブティックをオープンしたのがカルティエです。

    記念すべき初出店から、今年でちょうど50周年。カルティエと日本を結ぶさまざまなストーリーを紹介する「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」が、東京国立博物館 表慶館で開催中です。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    会場に入ると、エントランスの大空間には澁谷翔によるインスタレーションが広がります。カルティエ ジャパン50周年を記念するためにつくられた新作で、47都道府県すべての地方日刊紙の1面に、空を描いた作品です。

    日本橋を起点に日本全国を旅して制作した、絵画50点の連作。歌川広重《東海道五十三次之内》へのオマージュ作品です。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    展覧会はホールの右側から始まります。メゾン カルティエは1847年に創業。時代はジャポニスムが欧州を席巻する少し前で、日本への関心はカルティエの作品にも投影されています。

    1898年から父とともにメゾンの事業経営に参画したルイ・カルティエは、パリの「日本美術の友の会」の会員でもありました。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    ルイ・カルティエは200点以上の日本美術コレクションを有していました。後にオークションで売却されたため、現在でもカルティエのアーカイヴに残されているのは数点ですが、手鏡からインスピレーションを受けた置き時計や、印籠から着想したヴァニティケースなど、日本美術を再解釈し、独自のクリエイションとして発表されたものなど、日本文化からの影響が顕著な、興味深い作品が並びます。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    カルティエは1988年の青山・スパイラルホールを皮切りに、東京都庭園美術館(1995年)、京都・醍醐寺(2004年)、東京国立博物館 表慶館(2009年)、国立新美術館(2009年)と、過去に5回、日本で「カルティエ コレクション」展を開催しています。

    「カルティエ コレクション」は1983年に創設。カルティエがその歴史の中で生み出した、3,500点を超える代表的作品を収蔵しています。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    日本に対して特別な関心を寄せているカルティエは、過去の日本美術の参照だけでなく、同時代の日本人アーティストとのコラボレーションも積極的におこなっています。

    会場の後半では、多くの日本人アーティストをヨーロッパでいち早く紹介してきたカルティエ現代美術財団がセレクトした、日本のアートシーンを代表する16人の国内外アーティストの作品が紹介されています。


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    東京国立博物館 表慶館「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」会場より


    大正天皇のご成婚を記念して建設された東京国立博物館 表慶館の雰囲気ともぴったりマッチした展覧会。展示ケースが置かれている台に畳が使われていたり、工事現場の足場などで見られるパイプを用いたりと、空間演出もユニークです。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年6月10日 ]

    会場
    東京国立博物館
    会期
    2024年6月12日(水)〜7月28日(日)
    会期終了
    開館時間
    9時30分–17時、金・土曜日は19時00分まで
    (入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    毎週月曜日、7月16日(火) ※7月15日(月・祝)は開館
    住所
    〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    料金
    一般1,500円、大学生1,200円
    展覧会詳細 「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    地域おこし学芸員(地域キュレーター・地域おこし協力隊)募集中! [北海道_天塩町(天塩川歴史資料館)]
    北海道
    なごや生物多様性センター 会計年度職員募集 [なごや生物多様性センター]
    愛知県
    福岡県物産観光展示室『福岡よかもんひろば』 施設長 募集! [福岡市博多区東公園7-7 福岡県庁11階(福岡県物産観光展示室『福岡よかもんひろば』)]
    福岡県
    総本山智積院 宝物館 学芸員募集中 [総本山智積院 宝物館]
    京都府
    国立アートリサーチセンター 特定研究員(作品活用促進グループ)公募 [国立美術館本部国立アートリサーチセンター (東京都千代田区九段北1-13-12北の丸スクエア2階)]
    東京都
    展覧会ランキング
    1
    国立西洋美術館 | 東京都
    モネ 睡蓮のとき
    もうすぐ終了[あと11日]
    2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
    2
    麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
    ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
    もうすぐ終了[あと2日]
    2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
    3
    東京国立博物館 | 東京都
    開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 -百花繚乱 御所ゆかりの絵画-」
    開催中[あと44日]
    2025年1月21日(火)〜3月16日(日)
    4
    ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」 | 東京都
    ミニチュア×百段階段
    開催中[あと37日]
    2025年1月18日(土)〜3月9日(日)
    5
    そごう美術館(横浜駅東口 そごう横浜店 6階) | 神奈川県
    手塚治虫 ブラック・ジャック展
    開催中[あと25日]
    2025年1月16日(木)〜2月25日(火)