愛知県豊田市で整備が進んでいた、豊田市博物館がオープン。「みんなでつくりつづける博物館」を運営コンセプトに掲げている、新しい博物館をご紹介します。
豊田市博物館 外観
豊田市の中心市街地にある高台に設けられた、豊田市博物館。建物は明るく開放的な空間が特徴的で、建築家・坂茂が設計しました。
博物館の顔といえるメインエントランスは、豊田市産材を用いた木造の列柱と大屋根です。屋根には開口部があり、太陽の光で豊田市の市章が床面に映し出される仕掛けです。
メインエントランスの大屋根
建物に入ると、目の前に「えんにち空間」と命名された大空間が広がります。 縁日のようなにぎわいあふれる空間として、さまざまな市民活動に利用されることを想定しています。
「えんにち空間」
常設展示室は、圧巻の「とよたモノ語り」から。格子状の巨大な展示ケースには、3万年以上前から人が住み、豊かな自然と人々の営みが共存する豊田市に関連する、さまざまな「モノ」が並びます。
「とよたモノ語り」
続いて「とよた記憶トラベル」。旧石器時代から現代まで、人々の記憶から豊田市の歴史をたどっていきます。
「とよた記憶トラベル」
「とよたたんきゅうラボ」は、豊田市の自然と暮らしを紹介。平地から山地まで1,000m以上の高低差がある豊田市には数多くの生きものが生息し、人々も自然と共に生きてきました。
「とよたたんきゅうラボ」
全国有数の製造品出荷額を誇る「クルマのまち」として知られ、世界をリードするものづくり中枢都市である豊田市。「とよたストーリー」では、自然や歴史、人々のくらしをつないだストーリーから、現在の豊田市が形づくられるまでを辿ります。
「とよたストーリー」
常設展示室の外周部はスロープになっており、上階まで上がれます。窓から見える豊田市のまちや山々を眺めながら、常設展示を振り返ってください。
「とよたパノラマスロープ」
2階には図書コーナーやキッズスペース、ミュージアムカフェなどが設置されています。キッズスペースは三河山地の山並みにならったデザイン。カフェは紙管を使ったインテリアになりました。
キッズスペース
ミュージアムカフェ
豊田市美術館に隣接するかたちで建設された豊田市博物館。庭園部は、豊田市美術館の庭園も手がけた米国のランドスケープ・デザイナー、ピーター・ウォーカーが担当しており、景観に一体感をもたせ、両館を自然に行き来できるデザインになりました。
また、博物館と継続的に関わっていく個人・団体を登録する「とよはくパートナー」も制定。オープンした後も、市民とともにつくり続けている博物館を目指しています。
今後、さまざまな企画展も開催されます。2025年10月12日(土)~12月8日(日)には開館記念特別展「旅するジョウモンさん―5千年前の落し物」が開催される予定です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年4月25日 ]