今回は映像と音でゴッホの絵を一枚一枚楽しむ展覧会かなと思って、いざ会場へ行ってみると・・・そこは、まるでゴッホの胸の中に入ったような世界。完璧に予想を超えた空間が待っていました。
会場風景
約40台の高精細なプロジェクターと、映画館にいるかのようなサウンド。大迫力の画像は、大きく美しいだけでなく、巧みな演出で心にグイグイと引っかかってきます。いつもの展覧会のように自分が歩いて巡る感じではなくて、逆にじっとしていても作品の方から迫ってきます。
360度どこを見渡しても飽きることのない構成で、とにかくゴッホに包まれます。立ちながら、歩きながら、居心地の良いクッションに身を任せながら、ゴッホの森の中を彷徨い、彼の思想の世界に浸ることができます。
オランダ南部でプロテスタントの牧師の息子として生まれたゴッホ。第一幕は、オランダ時代の暗い色調の世界。ゴッホと言えば後の明るい色調の印象が強いですが、見事な演出でこの時代の作品の魅力がよく伝わってきます。
会場風景
次のパリ時代では、日本画の影響を受け、色調に大きな変化が出てきますが、背景をよく知らなくても変化を楽しめると思います。時折、あまり見かけたことのない作品にも出会えるのも今回の楽しみの一つでした。
会場風景
明るい太陽のアルル時代では、様々なひまわりがコラージュされ、いつもと違った感じ方ができます。床の上にも画像が溢れ出し、一体どこを見ていようか、迷いっぱなしでした。
会場風景
そして療養中のサン=レミ時代、最期のオーヴェール=シュル=オワーズ時代へと、面白い演出が続きますが、この辺りは是非とも実際に体感して欲しいです。
会場風景
大きな画面、小さな画面、次々と画像がそこいら中で変化する様を、画家の画風の進化と、その時々の彼の言葉と共に体感できる。美術鑑賞というより、まさにアミューズメントパークに来たかのような楽しい時間です。
仲のいい友達と、彼氏・彼女と、家族と来てもいいし、ちょっとテンション低めの時でもワンステップ心を持ち上げてくれること間違いなしです。
[ 取材・撮影・文:Marie / 2023年3月17日 ]
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