今年で創立150年を迎えた東京国立博物館。開催中の特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」は、所蔵する89件の国宝すべてが公開されることもあり、大きな話題を呼んでいます。
一方、こちらの展覧会には国宝はひとつもありませんが、150年後には国宝がザクザクかも?西暦2172年に伝え残していきたい国宝候補を紹介する、ユニークな展覧会も始まりました。
東京都国立博物館 表慶館「150年後の国宝展」会場入口
展覧会は、企業部門と一般部門の二本立て。企業部門は企業が自薦する「150年後の国宝候補」で、31社が参加しています。
会場入ってすぐに鎮座するのは、ご存じ「ゴジラ」(東宝株式会社)。1954年に登場して依頼、特撮という手法も含めて、日本を象徴するアイコンのひとつにまで成長しました。
「ゴジラ」(東宝株式会社)
「たまごっち」(株式会社バンダイ)は1996年に登場。デジタルペットという新しい発想と、手間をかけ、世話をすることでキャラクターがユーザーに呼びかける仕組みは、世界中で支持されました。
「誕生」や「死」の概念を取り入れていることも特徴です。住環境の問題などからペットを飼えない子どもにも「生死」の一端にふれる機会にもなりました。
「たまごっち」(株式会社バンダイ)
日本のKAWAII文化を代表する「ハローキティ」(株式会社サンリオ)。2024年に誕生から50周年を迎えます。
他のコンテンツとも積極的にコラボレーションし、近年では国連と協働でSDGsをグローバルに推進する活動も行っています。
展示されているのは、貴重な第1号ぬいぐるみです。
「ハローキティ」(株式会社サンリオ)
「初音ミク」(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)は、歌詞とメロディーを入力して歌を歌わせることができるソフトウェア。「初音ミク」を用いて作られた音楽をはじめ、イラスト、動画、3DCGなど、さまざまな創作物が、インターネットを中心に増え続けています。
「初音ミク」によって、専門的な知識や経験の有無に関係なく、より多くの人が容易に創造の世界に触れられるようになりました。
「初音ミク」(クリプトン・フューチャー・メディア株式会社)
「コンビニの今と昔 セブン-イレブン」(株式会社セブン&アイ・ホールディングス)も候補にはいりました。1974年5月に15日に第1号店がオープンした、セブン-イレブン。誕生からまもなく半世紀を迎えます。
年中無休、24時間利用出来るATMサービス、公共料金の支払い代行サービス、さまざまなオリジナル商品の開発など、流通業界で初めての取り組みを重ねてきました。
ちなみに、最初に売れた商品は、800円のサングラスだったそうです。
「コンビニの今と昔 セブン-イレブン」(株式会社セブン&アイ・ホールディングス)
耐久性にすぐれ、燃費がよく、気軽に乗れるスーパーカブ。1950年代から製造が始まり、世界中で大ヒットしました。
各地の生活スタイルやニーズに合わせて独自の進化が続いており、世界の人々の暮らしに欠かせないモビリティになりました。
「スーパーカブC100」(本田技研工業株式会社)
一般部門は「ワタシの宝物、ミライの宝物」というテーマで全国から思い出が詰まった宝物が寄せられ、345件の応募から、東京国立博物館と選考委員が選定。「祖母から誕生日にもらったブックマーカー」や「歯科技工士を目指して毎日彫刻した歯冠彫刻模型」など、67件が紹介されています。
一般部門
150年の歴史を有する東京国立博物館ですが、公募型の展覧会が行われるのは今回が初めてです。
シニア世代の方には、懐かしいものもたくさんありました。気軽にお楽しみいただける展覧会です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年11月1日 ]