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    瀬戸内国際芸術祭2022(レポート その2 直島・宇野港周辺)
    岡山県 | 岡山県


    続いて直島と宇野港(岡山県玉野市)へ。直島は製錬所のある町として発展し、近年はベネッセと公益財団法人福武財団による数々の取り組みで、現代アートの聖地として注目を集めています。

    高松から直島(宮浦港)までフェリーで50分。前述したように高速船は共通乗船券が使えないので、ご注意ください。



    フェリーにも瀬戸芸の案内がはためきます


    天気さえよければ、直島での移動はレンタサイクルがおすすめです。バスもありますが、効率的に回る事ができます。

    かつてはパチンコ屋だった建物を利用した「宮浦ギャラリー六区」は、≪瀬戸内「   」資料館≫として作品を展示しています。

    「   」に入る展示テーマは時期で変わり、瀬戸芸の春会期中は《瀬戸内「鍰(からみ)造景」資料館》でした。鍰はかつて銅を製錬する際に発生していた不純物で、壁や瓦などに利用されてきました。



    na06-B《宮浦ギャラリー六区│瀬戸内「   」資料館》下道基行 [春・夏・秋]


    近くの《The Naoshima Plan 「住」》は、ユニークなプロジェクトです。完成後は社員寮として使用される建築物の躯体を、作品として見せています。

    三分一博志はその土地固有の風・水・太陽などの「動く素材」を利用しながら、数百年先の直島にも受け渡すことができる建物として設計しました。金物を使わず、日本の伝統工法を取り入れた「平間柱貫工法」で進められています。



    na23-B《The Naoshima Plan 「住」》三分一博志 [春・秋]


    ベネッセアートサイト直島の中核施設といえるのが、安藤忠雄が設計したベネッセハウス ミュージアムです。美術館とホテルが一体化した施設で、1992年に竣工しました。

    中には数々の現代アート作品があり、以前は写真撮影が禁止されていましたが、来場者の希望に応えて撮影が可能になりました(一部、撮影不可の作品もあります)。



    ベネッセハウス 写真:山本糾


    今年の瀬戸芸にあわせるように、この3月にはベネッセアートサイト直島に新しいふたつの施設がオープンしました。

    ひとつめの「杉本博司ギャラリー 時の回廊」は、これまでベネッセハウス パークにあった杉本博司作品の展示空間を拡張したもの。屋外に「硝子の茶室『聞鳥庵』」が設置され、ラウンジでは呈茶(お茶とお菓子)を味わうことができます。



    杉本博司ギャラリー 時の回廊 ラウンジ風景、2022年 撮影:森山雅智


    もうひとつの「ヴァレーギャラリー」は、李禹煥美術館向かいの山間に設けられました。作品とともに、エリア全体のランドスケープを体感してもらいます。

    安藤忠雄が設計した建物は、祠をイメージした小さな建物です。内部は回廊状になっており、屋内外には草間彌生の作品。池のほとりには小沢剛の作品があります。



    Yayoi Kusama, Narcissus Garden, 1966/2022, Stainless steel spheres, Copyright of Yayoi Kusama Photo: Masatomo MORIYAMA


    直島は見どころが多く、これ以外も地中美術館や家プロジェクトは必見。初めて直島に行くなら、鑑賞時間は丸1日とるべきです。

    直島(宮浦港)から宇野へ移動。作品は港周辺に集中しており、徒歩でまわる事ができます。

    大きな魚は、チヌ(クロダイ)とコチヌ。宇野港周辺で採取したゴミや不要品でつくられています。素材の色のままなので、虹色にするのは苦労したのではないでしょうか。



    un04《宇野のチヌ/宇野コチヌ》淀川テクニック [通期展示]


    古い病院の中では、破壊される建築物の映像と写真が展示されています。

    会場は、半世紀以上にわたって病院として使用された後、40年近くそのままになっていたもの。場の雰囲気と作品のイメージがとてもマッチしています。

    病院そのものを「懐かしい」と話しながら見て回る、高齢の来場者も印象的でした。



    un10《実話に基づく》ムニール・ファトゥミ(モロッコ) [春・夏・秋、新作]


    《時間屋》は、とても美しい作品です。真っ白い部屋で一筋の線になって流れ落ちているのは、塩。壁面にも塩で数字が描かれ、時計の針が進みます。

    46億年前から海に溶けていた塩を取り出し、時間と一緒に計り売りする、というコンセプトです。



    un11《時間屋》長谷川仁 [春・夏・秋、新作]


    室内外の各所で、さまざまなモノたちが回り続けているのは《赤い家は通信を求む》です。

    作家はこの家に住人とモノが過ごした時間と気配を感じ、遺されたモノたちをゴーストとして再生させて作品にしました。



    un12《赤い家は通信を求む》片岡純也+岩竹理恵 [春・夏・秋、新作]


    この日は帰りのフェリーで食べるため、「瀬戸内レストラン BLUNO」でベーグルサンドイッチタイベーコンをテイクアウトしました。

    2021年7月にオープンしたばかりのUNO HOTELの1階にある、とても素敵なレストランです。

    今回の行程だと宇野では時間に余裕が無いので、テイクアウトが必要ならあらかじめ電話で予約した方が良いと思います。



    「ベーグルサンドイッチタイベーコン」(1,100円)



    【タイムスケジュール】
     (高松に宿泊)
     08:12~09:02 高松~直島(宮浦港)※共通乗船券
     09:15~14:30 直島の作品鑑賞[レンタサイクル] 宮ノ浦、ベネッセハウス・ミュージアム、家プロジェクトなど ※全ての作品は鑑賞していません
     14:55~15:15 直島(宮浦港)~宇野 ※共通乗船券
     15:30~16:30 宇野の作品鑑賞[徒歩] やや急いで、春会期の8作品は全て鑑賞
     16:30~16:50 宇野~直島(宮浦港)
     17:00~18:00 直島(宮浦港)~高松 ※ともに共通乗船券
     (高松に宿泊)


    [ 取材・撮影・文:M.F. / 2022年4月22日~25日 ]


     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その1)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その2)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その3)

     → 瀬戸内国際芸術祭 2022(レポート その4)


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    会場
    直島 / 豊島 / 女木島 / 男木島 / 小豆島 / 大島 / 犬島 / 沙弥島[春のみ] / 本島[秋のみ] / 高見島[秋のみ] /粟島[秋のみ] / 伊吹島[秋のみ] /
    高松港・宇野港周辺 / 広域・回遊
    会期
    2022年8月5日(金)〜11月6日(日)
    会期終了
    住所
    岡山県
    公式サイト https://setouchi-artfest.jp/
    展覧会詳細 瀬戸内国際芸術祭2022 詳細情報
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