名古屋市美術館で「布の庭にあそぶ 庄司達」がはじまりました。 庄司達は愛知県を拠点に50年以上制作を続けています。
本展では1968年に発表されたデビュー作の〈白い布による空間〉シリーズから、2022年に制作された〈Cloth Behind〉の新作までを展示しています。 なかでも、〈Navigation〉シリーズは、「アーチ」、「フライト」、「レベル」の3種類すべてが揃う貴重な機会です。
名古屋市美術館 「布の庭にあそぶ 庄司達」
展覧会の見どころ
会場の入口には、〈白い布による空間〉シリーズのマケットが並んでいます。このサイズだと、実際の作品では見えない作品上部の様子がよくわかります。中ほどのマケットだけ斜めに配置されています。他のマケットとは正面の向きが違うのでしょうか。
会場風景
マケットの間をぬけ、展示室の奥へ進みます。
《白い布による空間'68-1》は中央部を通り抜けできます。 展覧会を見終わって思ったのですが、この作品は「布の庭」の門のような位置づけなのかもしれません。
会場風景 手前《白い布による空間'68-1》1968(2021再制作) 作家蔵
《白い布による空間'68-3》は、上下の布の中央部分が少しだけ出っ張っています。よく見ると、上下の布の中央を1本の糸で引き寄せていて、とても強い緊張感を感じます。
会場風景 手前《白い布による空間'68-3》1968(2021再制作) 作家蔵
《白い布による空間'68-7》の上下に重なる布を見ていると、透明なガラスの壁で囲われた高層ビルの建築模型のように見えます。 この作品は、他の作品と布の固定の仕方が異なります。2階の展示室の作品の中で、一番組み立てが大変なのではないでしょうか。
会場風景 手前《白い布による空間'68-7》1968 新潟市美術館蔵
《Navigation Flight No.6》を見て、少し違和感がありました。 昨年の「アートとめぐるはるの旅」(名古屋市美術館)でも《Navigation Flight》を見ましたが、もう少し横幅が広かったように記憶しています。
キャプションを見ると制作は「2022」年となっています。どうやら、「アートとめぐるはるの旅」で展示された作品とは異なる本展用の新作のようです。
会場風景 手前《Navigation Flight No.6》2022 作家蔵
作品点数は約20点と少なめですが、展示室を広々と使っており気持ちがいいです。 展示室の中央から眺めると、作品の間を通り抜ける観客も作品の一部のようです。また、天気により、天窓の明るさが変わるので、作品の見え方も微妙に変化します。 晴れよりは曇り、昼間よりは夕方のほうが、作品の陰影を読み取りやすく、面白いと思います。
展示を見終わり美術館のカフェに入ると、窓から大きなトラの描かれたサーカスのテントが見えました。テントの前には親子連れがずらりと並んでいます。 催し物は別ですが、こちらのテントも「布」の造形なので親近感を感じました。
美術館のカフェの窓から
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2022年5月3日 ]
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