アメデオ・モディリアーニ《大きな帽子をかぶったジャンヌ・エビュテルヌ》 1918年 個人蔵
約40年の準備の時を経て、今年2/2に開館した大阪中之島美術館では、開館記念特別展「モディリアーニ ー愛と創作に捧げた35年ー」が開催されています。国内では、14年ぶりとなるモディリアーニ回顧展になります。
大阪中之島美術館
モディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」は、大阪中之島美術館のコレクションの最初期の重要な一点であり、栄えある最初の企画展として、迷うことなくモディリアーニが選ばれました。
アメデオ・モディリアーニ《髪をほどいた横たわる裸婦》 1917年 大阪中之島美術館
同じモデルを描いた裸婦像が競演
大阪中之島美術館を代表するコレクションの一つ、モディリアーニの「髪をほどいた裸婦」と同じモデルを描いた「座る裸婦」との対比が興味深いです。
「座る裸婦」は、ベルギーのアントワープ王立美術館からの出品です。間近に2つを観る至福の時を堪能してください。
(左から)アメデオ・モディリアーニ 《髪をほどいた横たわる裸婦》 1917年 大阪中之島美術館 / アメデオ・モディリアーニ 《座る裸婦》 1917年 アントワープ王立美術館蔵
日本にも出会えるまたとない機会
フランス、イギリス、ベルギー、デンマーク、スイス、アメリカなど国外からと、日本国内の美術館や個人所蔵の作品など、約40点のモディリアーニの代表作が集結します。日本初公開作品もあり、モディリアーニファンならずともとっても楽しみな展覧会になっています。
南仏で描かれた少年の初々しい顔と塗りこめられた瞳に、モディリアーニは何を込めたのでしょうか?
アメデオ・モディリアーニ《少年の肖像》 1918-19年頃 個人蔵
ごつごつとした筆致で描かれたこの作品は、モデルの生命力が、あるいはモディリアーニの絵への思いが観る者に迫ってきます。
アメデオ・モディリアーニ《ドリヴァル夫人の肖像》 1916年頃 イム・オーバーシュテーク財団(バーゼル美術館に永久貸与)
モディリアーニの代表作と言えば、肖像画とヌードですが、ヌードの一つ、「横たわる裸婦(ロロット)」も日本初公開です。
モディリアーニは、生前唯一の個展を開きましたが、その際に窓から群衆が集まり、警察が介入したというエピソードも伝えられています。
アメデオ・モディリアーニ《横たわる裸婦(ロロット)》 1917-18年頃 個人蔵
女優グレタ・ガルボが生涯にわたって愛蔵した「少女の肖像」が世界初公開!
スウェーデン生まれで、ハリウッドのサイレント映画、トーキー映画の初期に大活躍した女優のグレタ・ガルボは、映画界を引退してから美術品収集に力を入れました。 彼女のニューヨークの広大な住宅の壁一面に約100点の絵画があったと伝えられています。
その中の一点「少女の肖像」は、今回、世界で初めての公開となります。世界初公開の絵を堪能してください。
アメデオ・モディリアーニ《少女の肖像》 1915年頃 グレタ・ガルボ・ファミリー・コレクション
日本にモディリアーニの名を知らしめた中原實
この中原實の「モジリアニの美しき家婦」は、1923年の第10回二科展に入選し、評判を博しました。絵の題名もあり、日本でモディリアーニの名と作風を広めたと言われています。
中原實《モジリアニの美しき家婦》 1923年 東京都現代美術館蔵
今展覧会では、モディリアーニの代表作の他、モディリアーニと同時代に活躍したピカソや藤田嗣治など「エコール・ド・パリ」の作品も多数出展されているのも、美術ファンにはうれしい限りです。
会場風景
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2022年4月8日 ]
エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?
→ 詳しくはこちらまで