豊田市美術館で「サンセット/サンライズ」展が始まりました。
最初に展覧会のポスターを見たとき、ミュージカルの「屋根の上のヴァイオリン弾き」の劇中歌みたいなネーミングだなと思ったのですが、ミュージカルのほうは「サンライズ/サンセット」でした。使う単語は同じですが、イメージは大きく違います。
会場入口
本展は、サンセット(日暮れ)からサンライズ(日の出)までの、光のない、あるいは光の弱い状態から連想されるテーマに沿って構成された豊田市美術館のコレクション展です。 本展ではゲスト・アーティストを迎えるということも聞いていて、新しい試みに期待して美術館に向かいました。
展覧会の見どころ
展示は、マジックアワーと呼ばれる夕方の情景からスタートします。入口のすぐ左手に、玄関に明かりをともした一軒家の作品があります。穏やかな光が周りを照らし、背後の大きな木が家を守っているかのようです。
会場風景 小林孝亘≪Home≫2022年 作家蔵
おそらく、展覧会のタイトルに合わせてのことと思いますが、普段より照明が暗いように感じました。(個人の感想です) また、順路もいつもとは反対向きの時計回りになっていて、まるで自分が時計の針になったような気持ちで展示室を進みます。
会場風景
次のコーナーでは、死と眠りに関連した作品が並んでいます。展示室中央に、白い花の作品があります。花の部分が白い花は、花屋でも見かけますが、葉も茎も白い花は、とても不気味で、不吉な雰囲気があります。
会場風景
左側の作品のカラフルさと右側の作品の厳かさの対比が面白いと思います。カラフルな作品は、遠目で見ると賑やかそうですが、描かれた場面に気づくとこのコーナーに並ぶ理由がわかります。
会場風景
次のコーナーでは、大きくて黒い貝の作品が目を引きます。沈黙を表現する場合に「貝になる」という言い方がありますが、この貝は目を閉じるという意味のようです。
会場風景 小林孝亘≪Hard Shell≫1992年 作家蔵
2階の展示室には、広々とした空間にモノクロームの作品が並んでいます。全体的にひんやりとした印象の作品が多く、例えば左側の作品のタイトルは≪Water Fountain≫(噴水)ですが、1階で見た作品の影響もあり、墓標に見えてしまいます。
会場風景
最後の展示室には、タートルネックのセーターを着た人物のポートレイトがあります。外出するのか、あるいはステイホームなのかはわかりませんが、朝になり、活動し始める予感で展示は終わっています。
見終わって、気持ちがとても穏やかになる展覧会でした。
なお、豊田市民芸館と豊田市民芸の森でも関連する展示が行われているそうです。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2022年2月26日 ]
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