
展覧会の大看板
「アートとめぐるはるの旅」展が始まりました。
本展は、名古屋市美術館のコレクションから、「旅」をテーマに選んだ作品で構成された特別展です。 作品点数は約50点と少なめですが、作品を通して「宇宙」、「海底」、「外国」、「過去」などを旅します。
本展、実は「アートで旅するなつやすみ」として、昨年の夏に開催予定でしたが、新型コロナウィルスの影響により、内容、会期、会場を変更して、ようやく実現したものです。

会場入口
会場入口の大きな垂幕は上部が隠れていますが、カラフルでよく目立ちます。
展覧会の見どころ

山田光春≪星の誕生≫1967年 名古屋市美術館蔵
スタート地点は「宇宙」です。
色彩のきれいな作品で、今回のメインビジュアルです。山田光春の作品は他にも出ていますが、これが一番きれいだと思います。

展示風景
「たびのはじまり」
旅に出るときは、目的地までのわかりやすい地図があると便利です。
この旅で使う地図は、右側の白地の作品です。よく見ると、いろいろなものを圧縮して作られています。アルファベットも見えるので、スタート地点は外国かもしれません。

展示風景
「やみをぬけて」
右側の作品には、正体不明の生物が描かれています。 左側の作品の空には月が出ています。いつの間にか地上に戻ったようです。

展示風景
「おわりとはじまり」
このコーナーでは、人生という長い時間を旅します。 普段はエコール・ド・パリの作品が並んでいますが、大きく様変わりしていて驚きました。
このコーナーのタイトルには聞き覚えがあります。もしかすると、「ゲド戦記」にちなんだネーミングかもしれません。

展示室風景
「うみをこえて」
旅をするのは人ばかりではありません。左側の作品は、海を越えて美術館にきました。 モディリアーニの≪おさげ髪の少女≫を題材に、作品が旅した時代を想像してみます。

展示室風景
「おわりとはじまり」から「うみをこえて」の間に、カラフルなテントがあります。
表面には数字の「8」のような模様が無数についています。作品のキャプションによると、素材は本物のテントのようです。きっと、この旅の休憩場所なのでしょう。 (注意、作品の中には入れません)

展示室風景
「ここはどこ?」
この旅も終盤ですが、とうとう迷子になってしまいました。 虎がいるので動物園のようですが、有名な東山動物園でしょうか。
東山動物園で思い出したのですが、名古屋市美術館では「東山動物園猛獣画廊壁画修復募金」という、収蔵作品修復のための募金を行っています。(詳しくは、美術館HP参照)

展示室風景
「おかえりなさい」
大きくて、軽やかで、不思議な作品です。材料は、白い布、木の棒、ロープです。 庄司達の≪Navigation Flight (空間の誘導・飛行)No.5-6≫(1991年)です。 12年ぶりの展示ですが、どうやって組み立てるのか、とても興味を惹かれます。
最後に、この旅では、いろいろな乗り物に乗りましたが、作品には、乗り物がほとんど描かれていません。自動車、船、飛行機、ロケット、どれも見当たりません。まるで、想像力だけで自由に旅をしてごらんと、誘われているようです。 見終わって、とても清涼感のある展示でした。
新型コロナウィルスの影響もあるので、密にならないよう気を付けて、名古屋市美術館で「はるの旅」はいかがでしょうか。
なお、展示室内の写真は、特別に許可を得て撮影したものです。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2021年3月27日 ]
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