展覧会概要

「ショック・オブ・ダリ サルバドール・ダリと日本の前衛」展が始まりました。
シュルレアリズム(超現実主義)の作家の中でも、特に有名なダリですが、1930年代に日本に紹介されると、当時の若い作家に強い影響を与えました。
今展では、1920年代から1950年代のダリの作品と、ダリに影響を受けた日本の作家の作品、及び当時の美術雑誌等の資料が展示されています。2021年最初の展覧会として、見る者の目を欺く、ダブル・イメージで描かれた不思議な世界に浸ってきました。
第1部 サルバドール・ダリの世界

展示室風景
冒頭にダリの母親の肖像画があります。意外にふくよかな印象です。
少し進むと、三重県立美術館(以下、三重県美)の所蔵する《パッラーディオのタリア柱廊》(1937-1938)があります。展示室にお客様はいるのですが、驚くほど静かです。

展示室風景
展覧会のチラシに取り上げられた≪ビキニの3つのスフィンクス≫(1947)(左から3番めの作品)を見ると、右手前の白髪の後頭部の形、左側の幹の裂けた樹木の形、中央部の白髪の後頭部の形が反復していることに気がつきます。
ダリの言う「形態学的なこだま」のわかりやすい例だと思います。

展示室風景
展示室中央に置かれた作品は、キャンバスの表と裏に描かれています。だまし絵的な仕掛けがあるかと思い、よく見てみましたが、そうではないようです。
第2章 ダリは日本にどう知られたか?

展示室風景
当時の美術雑誌などが展示されています。ほとんどがモノクロ印刷ですが、カラー図版を使ったものもあります。種類の多さに、当時のダリへの注目度の高さがうかがえます。
第3章 日本の前衛―影響の広がりと新たな絵画言語の探求

展示室風景

展示室風景
どの作品にも、なんらかのダリのモチーフ(地平線、水平線、荒地、岩、ゆがんだ空間)を見て取れますが、そのままコピーではなく、それぞれが独特の作風になっています。
ダリが潜在意識下の不可視のイメージを描いているのに対し、日本の作家は社会的な風潮や自己の心象風景に関心が向かったようです。
今回の展覧会は、本当に会場が静かでした。制約が多い中、観客の皆さんがマナーを守り、行動していることを感じました。鑑賞にあたり、チケットの日時指定はありませんが、混雑時には入場をお待ちいただく場合があります。これから見に行く方は、会場入口の手指の消毒と、マスクを忘れずにお出かけください。
フォトコーナー

フォトコーナーにて
今回のフォトコーナーは、DALILIPS(メイ・ウェストの唇ソファ)です。 順番待ちをして座ってみると、意外に硬い感触のソファでした。
なお、展示室内の写真は、特別に許可を得て撮影したものです。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2020年11月14日 ]
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