ゴードン・マッタ=クラークはニューヨーク生まれ。両親ともに画家で、父はシュルレアリストの画家で、1995年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞しているロベルト・マッタです。
建築を学んでいたコーネル大学を優秀学生として卒業しますが、当時流行していたアースワーク(ランドアート)の展覧会の助手を務め、この分野の第一人者であるロバート・スミッソンに共感。アーティストとして活動を始めます。
マッタ=クラークの作品は、一軒家を切断する、アーティスト同士でレストランを運営するなど、一時的にしか存在しないものばかり。今回の展覧会も、記録された映像や写真、ノート、スケッチなどが中心ですが、そこから見てとれる活動はかなり大胆。例えば《日の終わり》では、廃屋となった倉庫に侵入し、壁面に大きな穴を開け(もちろん無断です)、ニューヨーク市から逮捕状が出されています。
本展では「ミュージアム」「住まい」「ストリート」「港」「市場」の5章で、マッタ=クラークの活動を紹介。アジアでは初めてとなる回顧展ですが、昨今は再び注目を集めており、昨年はポルトガル、ドイツ、アメリカで個展が開催、今年は本展のほかフランスで、来年はエストニアでの個展も予定されています。
展覧会の会場構成は、小林恵吾(NoRA)+早稲田大学建築学科小林恵吾研究室/植村 遥。「Playground(公園)」のコンセプトのもと、通常の美術展では見られないような壁面に作品が展示されているなど、かなり挑戦的な仕様です。撮影も可能です。
ユニークな関連企画が、Instagramイベント「みつけよう!あなたのまちのGMC」。インスタで「@exhibition_gmc2018」をフォローして、身のまわりにあるGMC(ゴードン・マッタ=クラーク)的なものを「#あなたのまちのGMC」で投稿。展覧会担当者が、投稿の選出と館内への貼り出しを毎週行います。
展覧会は他館への巡回は無く、東京のみでの開催です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年6月18日 ]画像は全て © The Estate of Gordon Matta-Clark; Courtesy The Estate of Gordon Matta-Clark and David Zwirner, New York/London/Hong Kong.