第二次世界大戦以降の最も重要な芸術家のひとり、ヨーゼフ・ボイス。彼は「ほんとうの資本とは人の持つ創造性である」と語り、ひろく社会を彫刻ととらえ社会全体の変革を企てました。
《ユーラシアの杖》をはじめ、脂肪やフェルトを用いた作品、「アクション」の映像やドローイングなど、彼の作品の造形的な力と芸術的実践にあらためて着目。
ボイスは教育者として多くの芸術家を育成。ブリンキー・パレルモもその教え子のひとりです。
一見対照的な二人のドイツ人作家の作品は、しかし、芸術を生の営みへと取り戻そうと試みた点で共通していました。
両者の1960-70年代の作品を中心に構成される本展は、約10年ぶりとなる日本でのボイス展となります。
二人の作家それぞれの特徴をうかがいながら、彼らの実践の潜勢力を探る本展が、社会と芸術のかかわりについてあらためて問いかけ、芸術の営為とはなにかを見つめなおす機会となることを願います。