日本の抽象彫刻の先駆者として知られる堀内正和(1911-2001)は、1928年東京高等工業学校工芸彫刻部に入学、1929年 第16回二科展への最年少での入選を経て、同年東京高等工業学校を自主退学し、番衆技塾(二科会が主催した研究所)に入学、1940年からは青山学院中学の教師をしながら創作活動を続けました。1950年からは京都市立美術専門学校(現 京都市立芸術大学)で1974年 まで教授を務め、一方で文筆家・翻訳家としても活躍し、形と言葉で詩を綴る「造型の文人」とも呼ばれました。戦前期から活動を始め、旧来の彫刻造形に疑問を抱きながら長い間創作を続け、1963年「海の風」にて第6回高村光太郎賞、1969年「立方体の2等分」で第1回現代国際彫刻展(箱根彫刻の森美術館)大賞、1970年 第2回神戸須磨離宮公園現代彫刻展に出品した「円筒をななめに通りぬけるもうひとつの円筒」にて神奈川県立近代美術館賞を受賞しました。
その幾何学的な形態の作品は、知的空間構成とユ-モアに富み国際的にも高い評価を獲得しました。2001年に亡くなり、その後、神奈川県立近代美術館の鎌倉館で回顧展が開催され、改めて、その大きな足跡が人々に大きな感銘を与えました。
本展は、戦後の日本を代表する抽象彫刻家である「堀内正和」と、同じく戦後の日本を代表する具象彫刻家である「柳原義達」(関口美術館・本館の常設展示「柳原義達の世界」)の相対する作品を展示し、改めて、戦後の芸術を考察するものです。
1950年代から1990年代の作品を展示、中には堀内先生の創作の姿を感じることができる貴重なマケットや平面作品も展示致します。