大和文華館所蔵「18世紀の日本絵画－屏風絵を中心に－」

　18世紀後半、京都では親興の絵師として写生派の円山応挙、文人画派の池大雅、与謝蕪村や伊藤若冲が登場し、江戸では、中国の写生的な絵画を学んだ宋紫石、西洋画を学んだ司馬江漢や浮世絵師たちが活躍します。17世紀後半には、尾形光琳が琳派芸術を大成させますが、全般的には漢画の狩野派など、まだ既成の流派の規範的表現からそれほど外れていませんでした。18世紀後半の絵画がこれほど多彩に展開した背景には、絵画の享受層の増加や西洋絵画への新鮮な感動など、様々な要因が上げられます。人々が絵画表現に新たな可能性を見出し、絵画観そのものも変わっていった時代と言えるでしょう。 　このような絵画観の萌芽は既に18世紀前半に認められます。大和文華館では、この時期に重要な役割を果たした渡辺始興の作品の示す力強い造形性に注目し、平成12年の秋に特別展を開催しました。この展観では、屏風絵を中心に18世紀の日本絵画を展示します。この中には、所蔵品以外の特別出陳品を加え、8点の始興及び始興と思われる作品が含まれています。まさに百花繚乱、多くの才能が一度に花開いた18世紀の日本絵画をお楽しみ下さい。