十和田市現代美術館のサテライト会場spaceで、堀内悠希の個展を開催します。
ロンドンを拠点に活動する堀内悠希は、映像、立体、平面など様々なメディアを用いて、馴染みのある経験や自然界の現象を、直感的なイメージを想起させる瑞々しい表現として作品に留めます。過去には、ロウソクが燃える瞬間の、実体のない炎とその影を陶器で表現した彫刻作品や、多重露光で撮影することによって複数の時間を一つの画面に共存させる写真作品を制作しています。
本展「Qの旅」では、球体の彫刻、雲を捉えた映像、惑星を思わせるドローイングなどが展示されます。これらの様々な「球」をモチーフにした作品は、展覧会という特定の時間の流れや移り変わる季節の巡り、雪が解けるまでの時間と作品の寿命といった、多様な時間の存在を示唆します。ダブルミーニングに満ちた展示空間は、時間の重なりや意味の連鎖を生み出し、多くの人が共有する経験や個人的な記憶を呼び起こすだけでなく、更なる想像を掻き立てます。
自明のものとして見過ごされてしまう身の回りの事象を、ささやかでユーモラスな美的体験と共に目の前に提示する堀内の作品は、鑑賞者が持つ既成概念を解き、現象を純粋に見つめ直し、新しく発見させることを促します。時空間を超えた「問いの旅」へと誘う展覧会です。
(公式サイトより)