びちゃ
思ったよりもボリュームがあり、ゆっくり見ていたら時間が足りなくなるところだった。重要作品が揃っている程ではないが、各年代の代表的な作品モデルはあり、作家の表現の変遷が見れた。少女像は奈良本人の自画像的な意味合いと社会とのつながり、批判、思いが反映されていることは、過去の解説を見ていて分かってはいたが、単発や偏った作品の展示だけでは、理解が難しかったので、今回の展示で初めて、作家の表現の一貫性と心情や意識、社会との関係性の変化を見ることが出来て、作品の意味合いを理解する手がかりが出来たと思う。30代以降の作品が線による表現に対し、最近の作品は色による作品になっている。直接的な否定感、批判、不安感は薄らぎ、不安感や悲しみ、マイナスイメージを暖かく見守る雰囲気さえ感じる。ドローイング作品や小ぶりなオブジェの展示は、楽しんで展示しているのを感じるほど、自由な作品の並びになっていて、大量の小品を追いかけるのが愉しい。奈良の出身地である青森で開催することに意味のある展覧会だとは思うが、もっと多くの人に見てもらっても良いと思える展覧会だと思う。