彫刻家・大森暁生(おおもりあきお/1971年~)は、主に木と金属を素材として実在するものから架空のものまで命あるものをモチーフに制作しています。その彫刻は、霊気を帯びているかのように神秘的で、今にも動き出しそうなほどリアルです。
大森は、1996年愛知県立芸術大学卒業後、籔内佐斗司(やぶうちさとし)工房で修業し、独立。国内外のギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館などでの発表のみならず、ファッションブランドやレストラン、テレビドラマやミュージシャンなど異分野とのコラボレーションも積極的に行い、表現の幅を広げます。
鏡のギミックによりモチーフが軽やかに浮遊して見える「in the frame」シリーズ、熊本市動物愛護センターに保護された犬や猫を題材にした「光の肖像」の作品群など多様な作品を発表します。
また、約1200年前に空海が東寺に造り、1486年の文明の土一揆で焼失してしまった幻の大日如来像を、空海の定義をもとに大森の解釈を加え10年の歳月をかけ完全な姿で蘇らせ、2023年10月讃岐國分寺(香川県)に奉納予定です。会場では、この大日如来坐像の仏頭および明王の化身である獅子像4体を展示いたします。
本展では、大学の卒業制作《カラスの舟は昇華する》(1996年)から、《ぬけない棘のエレファント》(1999年)や《死に生ける獣-Babirusa-》(2016年)などの代表作、ファッションブランドとのコラボレーション作品、「ルパンの娘」ドラマ版(フジテレビ)・劇場版(東映)、「Get Ready!」(TBS)への提供作品、讃岐國分寺の「完全版大日如来坐像制作プロジェクト」の紹介、そして最新作までを今日まで作家が発してきた言葉とともに約100点展覧いたします。大森暁生の軌跡とこれからをご覧ください。