初期から晩年まで芦雪の画業を辿る良い展覧会でした。後期も是非観に行きたく、前期の画業の穴埋めとして。
応挙に倣い、写生による緻密な線描と華麗、装飾性のある色彩を描けば、コココロとしてモフモフの可愛い子犬や剽軽な目つきの蛙、愛嬌のある仕草の猿など動物や子供に向ける優しい眼を持ち、応挙の名代として赴いた南紀では大胆で豪快な筆を思いっきり揮い襖絵を描きまくる。黒い背中だけが見える鯨や虫眼鏡でないと確認できない方寸五百羅漢図や蕗にたかる蟻となんでもござれ、面白い!「奇想の絵師」や「応挙の弟子」に囚われすぎると見落としてしまうことがあるのではないだろうか。他との比較ではなく「絵師 芦雪」その人を見たい!