《逢福》 和田邦坊 昭和52年
宝珠(願い事が叶う玉)をくわえた白蛇がとぐろをまいています。宝珠からのオーラを感じているのか蛇もうっとり、ご満悦の様子です。小判や鯛、梅に松。お多福や吹き流し、サイコロなどの縁起物に溢れためでた尽くしの作品です。賛は「逢福」と書いて「おうふく」と読みます。福に巡り合えますようにと願いを込めた吉祥の言葉です。
担当者からのコメント
香川県琴平町出身の和田邦坊(1899-1992)。お札を燃やす《成金栄華時代》の風刺漫画の作者として有名ですが、戦後はデザイナーや画家として活躍した人物です。邦坊画伯は毎年お世話になった人に干支を描いた色紙絵(肉筆)をプレゼントしていました。今年の干支アワードも色紙絵から選びました。いつも選出に迷ってしまうほど作品はあるのですが、巳年はちょっと事情が違います。というのも画伯はヘビが苦手だったようで巳年を描いた色紙絵は1種類しかありませんでした。(喪中も重なっていたようで巳年の作品は極端に少ない傾向があります)。決して得意な画題ではなかったかもしれませんが恍惚とした白蛇の表情もなかなか可愛いかなと思って推しました。邦坊画伯と同じように私もヘビが苦手ですが、じっくり見れば見るほど愛おしくなる作品です。
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