《無原罪の聖母》 ジャン=フランソワ・ミレー 1858年 油彩・麻布
ミレーがバチカンの鉄道省からの依頼を受け、ローマ教皇ピウス9世が乗る特別な列車の車両に設置するために描かれました。ピウス9世は聖母マリアを深く信仰し「無原罪の御宿り」という教義を正式に定めた教皇でした。ただ、ミレーの描いた聖母は教皇の意向にはそぐわなかったようです。 マリアが足で踏む蛇は、アダムとイヴを楽園でそそのかした「原罪」の象徴であり、この「原罪」なくして母の胎に宿ったとされるマリアは、蛇を踏むことで、「原罪」を免れた存在として表されています。
担当者からのコメント
ミレーは、縞模様のあるクサリヘビという種類をモデルに蛇を描いたようです。大きく開けた口から血を吐いているような様子が、なかなか衝撃的な描写です。納品された本作は車両内に設けられた教皇の祈祷台の上に掲げられたようです。車両本体は、現在ローマ市内の博物館で展示されています。
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