《高浮彫兎と蛇と男蓋付湯呑》 井上良斎 明治時代前期~中期
幕末、瀬戸出身の井上良斎が江戸へ行って製陶を始め、明治8年には隅田川西岸に瀬戸伝統の登り窯を築いて盛んにつくられた輸出陶磁器・隅田焼。 この作品も、隅田焼の特徴である独特な赤の塗料が使われ、釉薬を掛け分けて彩色しています。蛇と兎、それを追いかけているかのような町人の男、そして蓋にはのんびりとした様子のカタツムリが、高浮彫で表現されています。
担当者からのコメント
隅田焼は「これってどんなシチュエーション…?」と思わず首を傾げてしまうような、ユニークなモチーフが多いのですが、これもそんな作品の一つ。逃げる兎と蛇を男が捕まえようとしている…ように見えるけれど、実は全然違うのかも…? カタツムリは下のドタバタ劇に気付いているのかいないのか。いろいろな想像が膨らむのも隅田焼の面白いところで、作者が楽しんでつくったことが伝わってくるようです。
この作品は現在展示していませんが、常設展の中に隅田焼のコーナーがありますので、ぜひご覧ください!
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