《猿兎囲碁図目貫》 割銘 寿/治 江戸時代 19世紀 香雪美術館
兎と猿が囲碁に興じる、愛嬌があり可愛らしい目貫(めぬき)です。目貫とは、刀剣を収める外装である拵(こしらえ)に装着する部品のひとつで、握る部分である柄(つか)に付きます。刀装具のモチーフには、武器という性質から、吉兆や強さの象徴となる龍や麒麟、獅子や虎などの霊獣・猛獣が好まれました。一方で、牛や鶏などの身近な動物もモチーフとして表されており、その愛らしい姿からは、いつくしみをもって表現されていることが伝わってきます。作者の寿治(としはる)は、二条城の番士(殿中の宿衛、諸所の警護に勤めた)で、余技で刀装具を制作したと伝わります。
担当者からのコメント
中之島香雪美術館では、12月17日(土)より2023年2月26日(日)まで、企画展「館蔵 刀装具コレクション 武家の嗜好品」を開催しており、本作も展示しています。600件以上もある刀装具のなかから、選りすぐった約160件を一堂に紹介。新春、微笑ましい当館の“兎”にぜひお会いください。
詳しくは、中之島香雪美術館ホームページ(https://www.kosetsu-museum.or.jp/nakanoshima/)をご覧ください。