《『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄》

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《『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄》 葛飾北斎 天保7年(1836)

すみだ北斎美術館


本図は、川中島の戦いの名場面として伝わる上杉謙信と武田信玄の一騎打ちを北斎が描いたものです。
川中島の戦いは、安土・桃山時代、甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信が川中島を戦場として、数度にわたって争った戦いです。軍学書『甲陽軍鑑』には、両名の一騎打ちの様子について次のように書かれています。4度目の川中島の戦いで混戦のなか、白手ぬぐいで頭を包んだ武者が馬に乗って刀を抜き、床几(しょうぎ)に座っていた信玄めがけて突進して切りつけてきたので、信玄は立って軍配で受けた。後できいたところ、この武者は謙信であったという。本図も、馬に乗り白手ぬぐいを被った謙信と、立って軍配で刀を受ける信玄が描かれ、『甲陽軍鑑』の記述に近い描き方がされています。

上杉謙信(長尾景虎)(1530~78)
越後(新潟県)の守護代の長尾為景の子。享禄3年(1530)寅年に生まれたことから、幼名は虎千代、元服後は景虎(のちに政虎、輝虎)と称した。武田信玄との川中島の戦いは5回にわたるが、勝敗は決まらなかった。

武田信玄(晴信)(1521~73)
父の武田信虎を追放して家督を継ぎ、甲斐(山梨県)や信濃(長野県)に勢力を拡大し、上杉謙信と争った。また、駿河(静岡県中部)や遠江(静岡県西部)に進出し、徳川家康を三方ヶ原(みかたがはら)で破った。その軍隊の強さから「甲斐の虎」と恐れられた。


担当者からのコメント

寅年生まれで幼名や元服後の実名(諱)にも虎の字を入れた謙信と、「甲斐の虎」武田信玄の2名が描かれた本図は、寅年の縁起物といってもよいかもしれません。本図は『画本武蔵鐙』(えほんむさしあぶみ・北斎の武者絵を集めた版本)に収載されています。鎧や刀装具などの装備品が細く描き込まれるとともに、画面を見開き、縦に使うことで迫力を演出する工夫がみられます。謙信と信玄が拮抗する様子が、両者と馬の表情を通じても見てとれるようです。


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