《絵本『FOU』のための装画》(別刷り) 谷中安規 1936(昭和11)年 木版、紙
虎は画面右下でかわいくこちらを見ています。でも、その背には裸の女性が。なぜ??、と思って画面を見渡しても、ここには不思議な空間が広がるばかりです。
この作品は、佐藤春夫(和歌山県新宮市出身)が文章を書き、谷中安規が装幀と装画を手がけた、絵本『FOU』の装画の一枚を、一枚刷りの版画としたものです。
佐藤による文章は、パリで暮らすマキ・イシノという日本人を主人公にした奇想天外でメルヘンチックな物語です。谷中はそれに触発され、木版による幻想的な挿絵を描きました。
1936年に刊行された初版は、現物を手に取る事がなかなか難しくなっていますが、国立国会図書館のデジタルコレクションで見ることができます。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1207968
担当者からのコメント
じっくり見ているとふと目が合う、そこに小さな喜びを感じたので皆様にも味わっていただきたくこの作品を選びました。
当館ではたくさんの作品を所蔵し、じっくりと見て楽しんでいただけるように様々な展示会を開催しております。
近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。