《虎図》

この作品の応援メッセージを見る

《虎図》 渡辺溱水 明和3年(1766) 岡田美術館蔵

岡田美術館


長い尾をくねらせながら高く揚げた一頭の虎が、大きな黄色い目をこちらに向けて何かを威嚇しているようです。渓流の音が響き、雲が流れる深山の一角で、松の枝や、からみつく葛(つる草類)、地面の笹がなびいています。「虎嘯風生(虎嘯いて風生ず)」という、「英傑が時を得て奮起すること」をたとえた中国の古い言葉が思い起こされます。
作者の渡辺溱水(しんすい。1720~67)は、南蘋派(なんぴんは。長崎に来日した中国人画家・沈南蘋の画系)の画家で、長崎で画法を学び、着色の花鳥画、墨梅・墨竹に巧みであったと伝えられます。実物のイメージからは離れた、ユーモラスともいえるこの虎の絵は、朝鮮絵画も取り入れた南蘋派の虎図のパターンを踏襲したもので、量感豊かな虎の体や緻密な毛描き、迫力に満ちた表情などに、作者の高い技量がうかがわれます。


担当者からのコメント

渡辺溱水の現存作品はごく限られ、ほかに私が知っているのは1点だけです。この絵は、稀有であることに加え、大作(65×140㎝)であり、しかも制作年月(明和3年2月)が判明することから、大変貴重な作品と言えるでしょう。2月27日(日)まで岡田美術館4階常設展示の一角に展示しています。同日まで開催の「THE SAMURAI ―サムライと美の世界―」展と併せ、このレアな虎の絵をご覧いただければ幸いです。


この作品の応援メッセージを見る
この作品に投票する
投票は締め切りました。たくさんの応援ありがとうございました。
おすすめレポート
ご招待券プレゼント
須田悦弘展
応募する
広重ブルー
応募する
学芸員募集
【八尾市立歴史民俗資料館】学芸員募集(歴史担当)/※要学芸員資格 [契約社員/正社員登用制度あり]◆年休120日以上・未経験も歓迎! [八尾市立歴史民俗資料館]
大阪府
荻窪三庭園 施設管理運営スタッフ募集! [荻窪三庭園]
東京都
国立西洋美術館特定研究員(特定有期雇用職員)公募 [国立西洋美術館]
東京都
学芸員アシスタント兼受付業務(アルバイト)募集! [文化学園服飾博物館]
東京都
国立工芸館 事務補佐員(会計・施設担当) 公募 [国立工芸館 (石川県金沢市出羽町3-2)]
石川県
展覧会ランキング
1
国立西洋美術館 | 東京都
モネ 睡蓮のとき
開催中[あと88日]
2024年10月5日(土)〜2025年2月11日(火)
2
麻布台ヒルズ ギャラリー | 東京都
ポケモン×工芸展 ― 美とわざの大発見 ―
開催中[あと79日]
2024年11月1日(金)〜2025年2月2日(日)
3
東京都美術館 | 東京都
田中一村展 奄美の光 魂の絵画
開催中[あと16日]
2024年9月19日(木)〜12月1日(日)
4
日本科学未来館 | 東京都
特別展「パリ・ノートルダム大聖堂展 タブレットを手に巡る時空の旅」
開催中[あと81日]
2024年11月6日(水)〜2025年2月4日(火)
5
国立科学博物館 | 東京都
特別展「鳥 ~ゲノム解析で解き明かす新しい鳥類の系統~」
開催中[あと101日]
2024年11月2日(土)〜2025年2月24日(月)