《虎図》 片山楊谷(かたやまようこく) 1760(宝暦10)-1801(享和元)年 江戸時代後期
鳥取藩士で絵師でもあった片山楊谷は当時、光格天皇に画を献上するほど高い画技を持っていました。その画風は、頭髪や動物の毛1本1本を筆で描き出す極めて精緻なもので、「毛書きの楊谷」との異名もあったほどです。
そんな楊谷が渇筆で描いたこの虎は、上目遣いで歩み寄ってくるという斬新な構図。目が大きくて、なんとも愛らしい感じです。実は毛書きで緻密に描かれた彩色猛虎でも、いかつい割には愛らしさが漂ってくる――。それが“楊谷虎”なのかもしれません。
担当者からのコメント
江戸時代の虎図には、一見猫にも見える愛らしい虎をよく見かけます。これぞまさに「ねこトラ」。片山楊谷の虎図は「吉祥展2022 ねこトラ参上!(2021.12.22 - 2022.1.24)」で展示中です。