重要文化財《綾杉地獅子牡丹蒔絵婚礼調度》 彩色貝(竹に虎図) 江戸時代
横幅9センチ程の大きな蛤(はまぐり)の内側に彩色したもので、光沢のある金箔と細かな亀甲文様をあらわした下地に、二匹の虎と竹の絵が描かれています。さて、左側の虎に注目。体の模様が「豹」に似ていますね。江戸時代の頃は「虎」と「豹」の一対で雌雄と認識されていたようです。当時は日本に虎がおらず、屏風絵や掛幅に虎を描く際は輸入された毛皮や格好が似ていて馴染みのある猫の姿を参考にしていたそうです。そう言われると、顔の輪郭や耳の形、表情もどこか猫っぽ・・・いえ、愛らしい虎ですよ。
担当者からのコメント
今回エントリーした彩色貝(合貝)は、江戸時代に岡山藩主をつとめた池田光政(1609~82)の次女輝姫が公家の一条教輔に嫁した際に持参した婚礼調度のひとつです。輝姫の没後、形見分けの品として池田家で大切にされてきたもので、本作を含めた721枚の彩色貝が林原美術館に伝わっています。
林原美術館では、企画展「遊びの文化―和歌・蹴鞠・楽器のたしなみ―」(令和4年1月27日~3月31日)の会期中に彩色貝(竹に虎図)も展示しますので、この機会にぜひご覧になってください。