虎の間 川端龍子 1947年
京都・南禅寺にある狩野探幽筆と伝わる《群虎図》が、画中画として描かれた一作です。《群虎図》の中でも有名な「水呑みの虎」と向き合うのは、本作を描いた川端龍子本人です。また、取材に同行した龍子の三女が襖の後ろをのぞき込んだり、画面の右端では、弟子の安西啓明がしゃがみこんで襖絵を観察していたりと、画面内で行き交うまなざしも面白い一作です。
担当者からのコメント
本作が発表された1947年、戦後の復興に際して、龍子は江戸期を代表する絵師・狩野探幽の作品を自らの作品に取り込み、そこに自身の姿を描きました。これには、龍子の古典への挑戦と戦後の再出発の決意が、龍子と虎、つまり、龍虎相まみえる構図で表されているものと見ることができます。