老子 菱田春草 1893年
水牛の背に乗る長い白髭を蓄えた老人は、道教の祖とされる老子です。牧童に呼び止められ、鋭い眼光を向けるその姿は威厳に満ちています。
菱田春草(1874-1911)は飯田市出身の日本画家です。横山大観や下村観山らと共に岡倉天心の日本美術院に参加し、新たな日本画の創造に邁進しました。東京美術学校在学中に制作された本作では、髭やしわの一本一本まで細かく描きこまれ、また僅かに陰影も加えられており、写実的な表現が志向されています。
担当者からのコメント
老子に負けず劣らず強烈な存在感を放っている、立派な角を持つ巨大な水牛に注目。