篆刻美術館をたずねて (2)
篆刻美術館 外観
篆刻美術館は、1991年春に開館した日本で初めての篆刻(てんこく)専門の美術館です。
篆刻とは、700年ほど前に中国でおこった書道芸術のひとつ。四書・五経や漢詩などから語句を選び、篆書という古文字を用いて柔らかい石などに刻して、紙に押したものを鑑賞する芸術です。
収蔵している篆刻の数々
美術館は、古河出身の篆刻家・生井子華(いくいしか 1904-1989)の作品を展示する施設として設けられました。
館内には生井子華の作品を中心に、篆刻にかかわる封泥や石印材などを展示しています。
表蔵棟1階 展示室1
美術館の建物は、旧城下町の石町通りに面して、1920(大正9)年に建設された3階建て石蔵を改修したものです。
酒類卸売業を営んできた平野家の石蔵で、建築を手掛けたのは地元古河の棟梁や石工たち。関東大震災でもビクともせず、後に蔵をつくる際には「平野家の蔵を見ろ」と、参考にされたという逸話も伝わります。
現在では、国の登録有形文化財となっています。
表蔵棟2階 展示室2
篆刻美術館のキャラクターである刻狸は、篆刻をこよなく愛する付喪神(つくもがみ)。篆刻美術館中庭のタヌキの置物をモチーフに誕生しました。
左手に持っているのは、篆刻の道具である「印刀」。おなかの模様は「篆」の篆書体です。
刻狸グッズも販売中
デザインがタヌキなのは、篆刻美術館にあるタヌキの置物ともう一つ、篆刻のハンコを押すときの「ポン」という擬音語が、タヌキを連想させることに由来します。
刻狸のモチーフになった、タヌキの置物
このタヌキの置物は、建物を改修する前からあったもので、由緒などははっきりしません。
ただ、東日本大震災では蔵の瓦がバラバラと落下したにも関わらず、このタヌキは無傷。幸運の守り神なのかもしれません。
篆刻美術館 裏蔵棟