世界中で展覧会が開催されている草間彌生さん。近年の展覧会は、この項でも2011年の「
ボディ・フェスティバル in '60s 展 」(ワタリウム美術館)、2012年の「
永遠の永遠の永遠 」(埼玉県立近代美術館)、2013年の「
わたし超スキッ!! 」(軽井沢ニューアートミュージアム)などをご紹介してきましたが、今回は質・量ともに過去最大級の草間彌生展となりました。
展覧会は大きく二つに分かれており、まずは2000年以降の近作を紹介する第1部から。草間さんが2009年から取り組んでいる大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」から厳選した作品約130点が、一挙に公開されています。
画面に描かれているのは目や顔など具体的なモチーフもあれば、アメーバ?細胞?シダ植物?のように見える不思議な形態までさまざま。展示室には色彩が洪水のように溢れています。
開幕前日の報道内覧会にはご本人も登場。1929(昭和4)年生まれの草間さんは会期中に88歳を迎えましたが、カメラマンの注文に応える元気そうな仕草も印象的でした。
VIDEO 第1部「21世紀の草間彌生」 草間さんのこれまでの歩みを展観するのが第2部。「初期作品」「ニューヨーク時代 1957-73」「帰国後の作品」と時間軸に沿って紹介されていきます。
草間さんは松本市生まれ。幼少期から幻覚に由来するイメージを描き、京都市立美術工芸学校(現:京都市立銅駝美術工芸高等学校)を卒業後は自宅で制作に没頭。本展にも、実家(種苗業)で使われていた麻袋を支持体にした作品も展示されています。
美術評論家の瀧口修造にも認められ東京で個展を開催しますが、ジョージア・オキーフへの憧れから渡米を決意。それまでの作品を焼き捨てて1957年に米国に渡ります。
米国では布製の突起物を用いたソフト・スカルプチュアの作品や、「ハプニング」と呼ばれたパフォーマンス・アートで注目を集めますが、精神的にも肉体的にも疲弊して1973年に帰国。しばらくは入退院を繰り返しました。
日本では小説も執筆。80年代後半から大規模な個展が内外で開催されるようになり、国際的な評価は不動のものとなりました。
VIDEO 第2部「21世紀の草間彌生」 理解しにくいと言われる現代美術の中で、国民的な人気を誇る草間彌生さん。これほど注目を集める現代美術家は、おそらく岡本太郎以来でしょう。展覧会には4月21日の段階で既に30万人が来場しています。東京展のみで、巡回はありません。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年2月21日 ] ■草間彌生 わが永遠の魂 に関するツイート