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    レポート
    新印象派 ─ 光と色のドラマ
    東京都美術館 | 東京都
    色彩理論が生んだ、純色の点描
    パレット上で色を混ぜず、絵の具の色を小さな点でそのままカンヴァスに描写する。最先端の色彩理論に基づいてはじまった「新印象派」は、20世紀の画家たちにも大きな影響を与えました。新印象派の誕生前夜からフォーヴィスムまで、約20年の色彩表現の流れを追う企画展です。
    (左から)アルベール・デュポワ=ピエ《白いドレスの女性》 / ポール・シニャック《髪を結う女、作品227》
    (左)ジョルジュ・スーラ《セーヌ川、クールブヴォワにて》
    (左下から)ジョルジュ・スーラのパレット / ポール・シニャックのパレット
    (左から)ジョルジュ・スーラ《ポール=アン=ベッサンの外港、満潮》 / ヤン・トーロップ《マロニエのある風景》
    (右)テオ・ファン・レイセベルヘ《マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人》
    (左から)テオ・ファン・レイセルベルヘ《オーギュスト・デカン、画家の叔父》 / アシール・ロジェ《窓辺にて》 / アシール・ロジェ《アストル夫人の肖像》
    (左から)アンリ=エドモン・クロス《地中海のほとり》 / アンリ=エドモン・クロス《マントンの眺め》
    (左から)アンリ=エドモン・クロス《モデル》 / アンリ=エドモン・クロス《水浴の後》または《身体を拭く水浴の男、サン=トロペにて》 / アンリ=エドモン・クロス《スカラベ》
    会場入口
    1886年の第8回印象派展(最後の印象派展)から始まった、新印象派の歴史。会場ではその前段としてプロローグ「1880年代の印象派」からはじまり、第1章「1886年:新印象派の誕生」へと進みます。

    《セーヌ川、クールブヴォワにて》にも見られるように、ジョルジュ・スーラは純色の小さな点で現代生活を描写。スーラの試みは、記念碑的大作《グランド・ジャット島の日曜日の午後》に繋がっていきます(本展では習作が紹介されています)。


    プロローグ「1880年代の印象派」と、第1章「1886年:新印象派の誕生」。動画最後がジョルジュ・スーラ《セーヌ川、クールブヴォワにて》

    第2章「科学との出合い - 色彩理論と点描技法」は、ユニークな試み。新印象派に欠かせない、当時の科学的なアプローチについて解説していきます。

    画面に純色を並べ、鑑賞者の網膜上で色彩が混ざって見える効果を活かした点描技法。展示されているスーラとシニャックのパレットを見ても、白以外の色を混ぜなかった事は明らかです。


    第2章「科学との出合い - 色彩理論と点描技法」

    展覧会の山場といえるのが、第3章「1887年 - 1891年:新印象派の広がり」。スーラが始めた点描による新印象派は、大きく広がっていきました。

    スーラの盟友ともいえる存在が、ポール・シニャック。控えめなスーラ、陽気なシニャックと対照的でしたが、二人は強い友情で結ばれていました。シニャックの《髪を結う女、作品227》を見ると、日本美術からも影響を受けていた事が分かります。

    紫色の鮮やかな服が印象的な作品は《マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人》。テオ・ファン・レイセルベルヘは、ベルギーで新印象派を広めました。


    第3章「1887年 - 1891年:新印象派の広がり」 作品は順に、ポール・シニャック《髪を結う女、作品227》、テオ・ファン・レイセルベルヘ《マリア・セート、後のアンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人》

    第4章は「1892年 - 1894年:地中海との出合い - 新たな展開」。スーラは31歳の若さで病死してしまいますが、シニャックはクロスら新しい仲間とともに、新印象派を推し進めていきます。

    アシール・ロジェの《アストル夫人の肖像》は、198x133cmという大きな肖像画。脇の机や身体の描写に比べ、表情のリアルさが印象に残ります。


    第4章「1892年 - 1894年:地中海との出合い - 新たな展開」 動画最後がアシール・ロジェ《アストル夫人の肖像》

    最期のフロアは、第5章「1985年 - 1905年:色彩の解放」とエピローグ「フォーヴィスムの誕生へ」。1895年以降になると、シニャックらが描く絵は筆触が大きくなり、以前より自由な表現が用いられるようになります。

    その流れは、さらにダイナミックな手法に発展。マティスやドランは大きな面で純色を用いた作品を制作、大胆な色使いは野獣(フォーヴ)に例えられ「フォーヴィスム」が生まれました。


    第5章「1985年 - 1905年:色彩の解放」と、エピローグ「フォーヴィスムの誕生へ」

    オルセー美術館、メトロポリタン美術館など世界12ケ国、約60の美術館や個人コレクションから約100点が出品。あまり馴染みがない画家の作品も、印象深いものが数多くありました。

    あべのハルカス美術館(大阪)からの巡回展、東京展が最後の会場となります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年1月23日 ]

    スーラ ― 点描を超えてスーラ ― 点描を超えて

    米村 典子 (著)

    六耀社
    ¥ 1,944

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2015年1月24日(土)~3月29日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    月曜日休館 ※3月23日(月)は特別開室
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://neo.exhn.jp/
    料金
    一般 1,600(1,300)円 / 学生 1,300(1,100)円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
    展覧会詳細 「新印象派―光と色のドラマ」 詳細情報
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