会場風景
親鸞は、浄土真宗の開祖で、1173年、京都に生まれました。今年は、親鸞聖人生誕850年を記念する年になります。
親鸞聖人生誕850年特別展「親鸞ー生生涯と名宝」が、展覧会のポスターにあしらわれた桜の花のように、京都の桜が満開を迎える今、生誕の地である京都で開催されます。
親鸞の人となり、思索の道筋を間近に知ることができる素晴らしい機会です。
過去最大の出陳件数を誇る展示!
今回の展覧会では、国宝11件、重要文化財75件を含む181件が展示されています。各派の垣根を越えて、真宗十派の至宝が一堂に集まり、紹介されています。
今までにない、総合的な「親鸞展」です。全7章仕立ての展覧会は、親鸞のすべてを網羅しているといえます。
1864年の蛤御門の変による火災で焼失した東本願寺が再建された際に制作された衝立のひとつの「桜花図」の桜が、ポスターやチケットなどに華やかにあしらわれています。 展示室に入った瞬間、思わず、「おおっ」と声が出たぐらいの圧倒的な存在感でした。
写真右:桜花図 桜花図/松・藤花図のうち 望月玉泉筆 明治時代 明治28年(1895) 京都 東本願寺
親鸞像から親鸞その人に迫る!
高さ30㎝ほどの小さな像ですが、眉を吊り上げ、睨むような鋭い眼光の親鸞聖人坐像は、親鸞83歳の時の肖像画を元に作られたと考えられています。(3/25~4/16までの展示)
83歳にしてこの表情!リアルな迫力があります!
親鸞聖人坐像 南北朝時代 14世紀 三重 専修寺(3月25日~4月16日展示)
親鸞聖人影像は、特徴的な眉毛がさきの坐像と同じですが、坐像と違って、やさし気に見えませんか?いろいろな角度から、親鸞聖人に迫ることができるのは、この展覧会の醍醐味です。
国宝 親鸞聖人影像(安城御影副本) (賛・裏書)蓮如筆 室町時代 15世紀 京都 西本願寺(3月25日~4月2日展示)
親鸞の直筆や名号に親鸞を感じる!
「文字は人なり」と言われます。私たち凡人においてさえそうなのですから、いわんや親鸞をや!
親鸞が84歳のときに四十八文の中から選び出し書写したもので、右訓を墨書し、句点・返点などを朱書しています。750年以上前に書かれた、親鸞自筆の書を見ることができるのは、ほんとうに素晴らしいことだと思います。一字一字に何を思い、何を託したのでしょうか?
写真右:四十八願文断簡(第三十三願) 親鸞筆 鎌倉時代 康元元年(1256) 石川 本誓寺
「教行信証」坂東本・西本願寺本・高田本が一堂に!
「教行信証」、正式名称「顕浄土真実教行証文類」は、親鸞自身が、自分の考えをまとめて著した本で、弟子たちに受け継がれ、浄土真宗にとって最も大切な書物とされています。
坂東本は、親鸞自筆のもので、各所に推敲のあとを見ることができます。今、残っている中で、唯一、親鸞自身が書いたものです。たゆまぬ求道を物語っています。
国宝 教行信証(坂東本) 親鸞筆 鎌倉時代 13世紀 京都 東本願寺(冊替あり)
高田本は、親鸞存命中の写本です。西本願寺本は、それらを踏まえて、清書されたものです。
この3つを同時に見ることができる意義を考えながら、初めて3つを同時に見ることができることに感謝したいと思います。
親鸞の生涯をひも解く「親鸞伝絵」
「親鸞伝絵」とは、親鸞が亡くなって33年後に、ひ孫の覚如が親鸞の一生をまとめた絵巻物です。最初のものは戦で焼けてしまったそうですが、こちらはその後作られたうちのひとつです。
エピソードごとの場面が生き生きと描かれています。この部分は、親鸞没後10年、大谷の地に廟堂を建て遺骨と影像を安置した場面です。
重要文化財 本願寺親鸞聖人伝絵(照本願寺) 南北朝時代 康永3年(1344) 千葉 照願寺(3月25日~4月9日)
今回の展覧会で、異彩を放っていたのが、親鸞聖人蔵骨袋・包紙です。荼毘に付された親鸞の遺骨を門弟たちが拾い集め、遺骨の一部をもらい受け納めたのがこの袋だそうです。この袋とともに伝えられている包紙には、「鸞聖人ノ御骨/顕智ノ御マホリ」と表書きされています。
蔵骨袋にあなたは、何を思いますか?時空を超えて伝わるものがあるような気がしました。
重要文化財 親鸞聖人蔵骨袋・包紙 鎌倉時代 13~14世紀 三重 専修寺
次は38年後?だからこそ、見逃せません!
親鸞展は、各50年ごとのご生誕記念とご遠忌に開かれています。今までの例にならうと、次は、2061年の800回ご遠忌になるかもしれません。つまり、38年後!やっぱり、今回、見逃すわけにはいきません!
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2023年3月25日 ]
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