「いちはらアート×ミックス2020+」の取材レポート第2弾。残りのエリアと、周辺のスポットも少しご紹介します。
小湊鉄道もラッピングで芸術祭をPR
6.月崎・田淵エリア
月崎・田淵では、複数の場所に作品があります。
かつて有力者が住んでいたという大きな空き家では、屋内にあった大量の品々が、白いかごに入って、庭で展示されていました。雨になったらどうなるのか、少し気になります。
アイシャ・エルクメン《Inventory》
7.月出エリア
月出エリアも旧小学校が舞台。2014年から芸術の発信拠点として使われています。
体育館をモダンな展示スペースとしてリノベーションしたのは、鍛治瑞子。鍛治は映像とドローイング作品も出展しており、特に映像は印象深い作品でした。
鍛治瑞子《重なりゆく記憶ー月出工舎体育館リノベーションー》 手前:岡 博美《その内に持つ色》
その旧小学校に近い空き家で展開されていたインスタレーションが、今回の芸術祭で最も印象に残った作品です。
大正時代の空き家と、置き去りにされた家具を使った作品。時が止まったような、静謐で詩的な空間です。
田中奈緒子《彼方の家》
8.白鳥エリア
白鳥では旧小学校、旧保育所、公民館で作品が展示されています。
保育所の和室(休憩室)にある作品は、地名をもとに「白鳥の湖」がテーマ。に可愛らしい紙人形の舞台です。
大杉祥子《白鳥の湖》
一転して、木を使ったダイナミックな作品がこちら。
部屋の中だけでなく、窓から作品が飛び出ている力強いインスタレーション。作家は女性です。
高山夏希《conjunction ― 名詞から接続詞へ ―》
9.養老渓谷エリア
芸術祭の最南端にあたるのが養老渓谷エリア。周辺には温泉旅館も数多く見られます。
古民家を改装したギャラリーで楽しめるのは、体験型のデジタル作品。ドットで描かれているは作品がある民家で、コントローラーで移動する事ができます。
マルニクス・デネイス《PIVOT POINT - ICHIHARA》
広域展開・駅舎プロジェクト
今回の芸術祭では、小湊鉄道の五井駅から養老渓谷駅までの計17駅、全てに作品が展示されています。
上総村上駅にあるこちらは、とても人気がある作品。月に行く電車を待っている宇宙飛行士、というユニークなテーマです。
レオニート・チシコフ《7つの月を探す旅 第二の駅《村上氏の最後の飛行 あるいは月行きの列車を待ちながら》》
いくつかの駅に設けられている、ユニークなトイレも必見です。
カラフルな配色で目を引く上総牛久駅のトイレは、藤本壮介が手がけたもの。藤本によるトイレは、他に2カ所あります。
藤本壮介《里山トイレ》
さらに注目は、駅のホームと一体化したホテル。もともと駅にあった待合室をテラスに見立てて、駅舎の裏に客室を設置。公衆トイレは最新式の洋式便器と温水シャワー室になりました。
芸術祭が終わった後には、ぜひ実際のホテルとして活用して欲しいです。
西野達《上総久保駅ホテル》
周辺の見どころ
房総の奥まで来たので、周辺についてもご紹介しましょう。
ニュースなどで有名になったチバニアン(地磁気逆転期地層)は、月崎・田淵エリアにあります。実際の地層は養老川沿いにあるので、近くで見たい方は長靴をご用意ください。
チバニアン
芸術祭メインビジュアルになっている不思議な風景は、月崎トンネル。かつて人力で掘られたトンネルで、現在は天井の一部が崩落し、空を見上げる事ができます。
特に写真が好きな方は気になると思いますが、車で行く方は要注意。とても細い道なのと、車がすれ違いができる場所が少ないので、対向車が来ると大変な目にあいます。
月崎トンネル
鑑賞は週末の2日間。マイカーで巡りましたが、全てを見るのは時間的にはギリギリでした。
小湊鉄道の各駅も注目ですが、全制覇を狙うと大変。作品が多く集まっている場所を狙って行くと効率が良いと思います。あとは、このレポートなどを参考にしていただければありがたいです。
第2弾も動画をまとめました。
[ 取材・撮影・文:M.F. / 2021年11月20日~21日 ]
→ いちはらアート×ミックス2020+(レポート その1)
→ いちはらアート×ミックス2020+(レポート その2)
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