展覧会概要
展覧会の大きな垂幕
愛知県のヤマザキマザック美術館で、「富田菜摘 スクラップ・ワールド」展が始まりました。富田菜摘の個展は、名古屋では2008年、2012年にも開催されています。今回は、初期の作品から最近のものまで、70点以上が紹介されています。
そういえば、展覧会タイトルは、有名なSF恐竜映画のパロディみたいです。
美術館入口
会場のヤマザキマザック美術館は、フランスのオールドマスターとアール・ヌーヴォーの工芸品のコレクションに特徴があります。名古屋市営地下鉄「新栄」駅から地下通路で直結しており、アクセスも便利です。
展示室にて
展示風景 手前 《鉄平》(ウミイグアナ)2004年 ミクストメディア(金属廃材等)作家蔵
作品を実際に見ていただくとわかると思うのですが、富田菜摘の作風は、金属廃材などを使った、かなりユニークなものです。しかも、サイズが大きいので、迫力があります。
展示風景 手前 《ライアン》(ライオン)2018年 ミクストメディア(金属廃材等)個人蔵
色彩や質感にも、素材の特徴を生かしていて、例えばライオンをモチーフにした《ライアン》の目の部分には、カメラのレンズ(?)のようなものが使われています。
SFなどに登場するサイボーグのようですが、その表情はユーモラスです。
展示風景 手前 《ティラ》(ティラノサウルス)(部分)2019年 ミクストメディア(金属廃材等)作家蔵
展覧会のチラシに登場するティラノサウルスの《ティラ》の口の中には、たくさんのスプーンと赤いヘアドライヤーが使われています。
まるで、ヘアドライヤーのモーター音が、《ティラ》の咆哮のようです。(電源は入らないので、あくまで空想です)
展示風景 《さんざん待たせてごめんなさい》2008-11年 ミクストメディア(新聞・雑誌・折込チラシ等)作家蔵
富田菜摘の作品のモチーフは、大きく分けて 「動物」、「恐竜」、「人間」の3種類です。展示の後半では、美術館のコレクションを背景に様々な人物像が見られます。
作品によっては、展示用ガラスケースの陰に置かれていて、ふと目が合って、びっくりすることもありました。
展示風景 左 《舞子》(ヒツジ)2014年 ミクストメディア(金属廃材等)作家蔵
作品によっては、まるで200年前に作られたアンティーク然として展示ケースの中に納められていて、さほど違和感がありません。
展示風景 ヤモリのシリーズ
ここまで見てきた大型の動物や恐竜、人物には、まず重量感を感じます。一方、素材にプラスチックを使うヤモリのシリーズは、とても軽やかで、カラフルで、見ていて楽しいです。
展示を見た観客なら、思わず自分でも作りたくなるのではないでしょうか。
《マーサ》(カンムリヅル)2020年 ミクストメディア(金属廃材等)作家蔵
展示会場の出口付近に置かれた≪マーサ≫(カンムリヅル)は、今回の展示に合わせて制作されました。部品にはヤマザキマザックの工場で出た金属廃材や部品の見本が使われています。
いわゆる寄せ集めの部品で作られたものですが、まるで、作品に合わせて別注したかのような仕上がりです。
ヤマザキマザック美術館では、以前にも、はしもとみおの「木彫りどうぶつ美術館」展が開催されるなど、若手作家の展覧会にも取り組んでいます。
きっと、これからもたくさん楽しませてもらえそうです。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2020年11月14日 ]
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