東日本大震災で、群馬県の中では桐生市が最も揺れ、震度6弱を記録した。1万2993棟の家屋が被害を受け、国指定重要文化財8件、県指定重要化財11件にも被害が報告されているという。
市指定重要文化財の有鄰館には、明治から昭和にかけて造られた蔵が立ち並んでいる。展示会や音楽会などに使用されてきたが、復旧・再開の見通しはたっていないという。
シンボルの煉瓦(れんが)蔵は大量の瓦が落ち、れんが造りの壁にひびが入ったほか、床に亀裂が入り段差ができ、天井の空調機も片側が垂れ下がり断線。塩蔵や味噌(みそ)蔵、醤油(しょうゆ)蔵でも土壁が落ちたり、扉がはずれたり、建物全体が傾いたりしている。
国登録文化財で明治前期に建てられた森合資会社店蔵も、大量の瓦が落ちる、南側の土壁が剥落(はくらく)する、内張りの板がむき出しになるなどの被害があった。
森秀織物工場として国登録文化財に指定されている織物参考館「紫(ゆかり)」も、展示場はの窓がゆがんで閉まらなくなったほか、別棟の土産物売り場は瓦や壁が落ちて使えなくなった。
文化財保護課が事務所として使う市指定重要文化財の絹撚(けんねん)記念館も、移転先を検討中。
国指定重要文化財の明治館は、壁紙にわずかに亀裂が入った程度。同じく国指定重要文化財の彦部家住宅も、小さな亀裂が入っただけだという。
発信:
asahi.com「文化財建築に震災つめ跡 震度6弱の桐生、修復の道険し」(3/30)