修復の過程を説明する、東京藝術大学文化財保存学専攻保存修復油画研究室の木島隆康教授
藤田嗣治が1925年に描いた油彩画《舞踏会の前》(大原美術館蔵)の修復が完成し、2015年11月30日(月)、東京・上野の東京藝術大学大学美術館で報道陣に公開された。
《舞踏会の前》は、乳白色の裸婦像で知られる藤田嗣治の大作。藤田は1921年から乳白色の裸婦像を描いているが、裸婦は1人の作品が多い。《舞踏会の前》は《五人の裸婦》(東京国立近代美術館蔵)につづく裸婦の大型群像作品で、当時39歳だった藤田はレジオン・ドヌール勲章も受章し、画家として頂点を迎えていた頃に描かれた作品といえる。
今回の修復はBNP パリバ・グループの支援で昨年から進められていたもので、まず画面上の汚れや旧補彩絵具を除去。画布が破れていた部分も旧補彩を取り、オリジナルの色調を参考に補彩し直した。乳白色の裸婦は印影の表現が極めて薄く繊細なため、特にクリーニングは慎重に進められた。
藤田は東京藝術大学の前身である東京美術学校の出身で、修復完成披露展では、東京藝術大学が所蔵する在学時の作品2点と、個人蔵の作品1点も公開される。
「藤田嗣治《舞踏会の前》修復完成披露展」は、2015年12月1日(火)~12月6日(日)に東京藝術大学大学美術館展示室2で開催。同時に同大学が所蔵する藤田の書簡・日記・写真など「藤田嗣治資料」も公開・展示される。ともに入場は無料。
修復された《舞踏会の前》は、来年1月から国立新美術館で開催される「はじまり、美の饗宴展 すばらしき大原美術館コレクション」展にも出品される。
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